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「Windows Store」はWindowsに大きな変化をもたらす

2011年12月09日 20時14分更新

文● 塩田紳二

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Windows Storeに登録したアプリはBingから検索も可能で、Windows 8では検索結果のクリックで、Windows Storeが開く

 アプリケーションはストアに登録されたのち、審査を受けてから公開されることになる。登録の前には、まずマイクロソフトが用意するテストプログラム「Windows Application 認証キット」を使い、基本的なテストを終了させておく。これはストアに登録したときに自動で行なわれるテストと同じものであり、事前にこれを実行し問題点を修正しておくことで、「自動検査ではねられた」といった問題を回避できる。

 その後、アプリケーションは審査に入るが、開発者は登録したアプリが審査のどのような段階にあるのかを、「Windows Store Dashboard」から確認することが可能だという。なおWindows Storeのアプリ認証用件については、すでに同社サイトで公開されている。

 またWindows Storeに登録されているアプリ自体は、検索サイト「Bing」などから検索が可能で、Internet Explorerなどでの検索した結果から、Windows Storeに入ることも可能だという。

Windows Store最大のポイントは
Windows環境でのアプリケーションの著作権管理

 これまでのWindowsには、標準となる支払いプラットフォームがなかった。かつては「Hail Storm」というコードネームで決済機能を立ち上げようとしたこともあったが、計画は中止され、結局アプリケーションの流通は、Windowsとは無関係に行なわれていた。

 そうするうちに、ライバルがこの分野で先行してしまう。まずアップルがiTunesの決済機能を使ってiPhoneでApp Storeを立ち上げ、グーグルがAndroidマーケットで追従する。2011年1月には、Mac OS用の「Mac App Store」も開始された。Windowsはこの点でいまだ遅れている。

 後発となるマイクロソフトはWindowsプラットフォームの強みとして、プラットフォーム規模の大きさを挙げる。今後1年でx86版のPCが4億台以上出荷され、Windows Storeの潜在ユーザーは5億人以上という。これは、iOS(1億5200万人)やAndroid(2億4700万人)を遙かにしのぐ規模である。

 今回のWindows Storeは、Windowsと密に結合した初めての決済システムになる。アプリケーションストアは決済の仕組みだけではなく、販売したアプリケーションの著作権管理なども必要になる。正しい購入者は実行できるが、コピーしたアプリケーションは動作できないようにする仕組みや、利用者(あるいは実行環境)を判別する仕組みが必要だ。

 だが、これを現状のWindowsで行なうのは難しかった。というのは、Windowsではシステムによる保護はあるものの、ユーザーが手を入れられる部分が大きいため、多種多様なアプリケーションを対象とした著作権管理機能を組み込むことは、非常に困難だからだ。一部にはアクティベーションの仕組みはあるが、アクティベーション後にアプリケーションのコピーがひとつであることを確認するには、インターネット接続が常に必要となる。通信の不具合があるとアプリケーションが動作できない可能性もあるなど、使い勝手などの問題点があるうえ、これでも不正コピーを完全には防げないという問題があった。

 しかしWindows 8でシステムに組み込みの著作権管理と決済システムが登場したことで、今後は、アプリケーションやコンテンツだけでなく、Windowsのエディションアップグレードや、Windows自身の販売もオンライン化が可能になると考えられる。単なるApp Store対抗という以上の、大きな布石になりそうだ。

 Windows 8のβ版は2012年2月下旬に公開される予定で、Windows Storeもそのときに公開されるという。これに合わせてマイクロソフトでは、Metro Styleアプリケーションのコンテスト「Windows 8 First Apps Contest」を開催するという。締め切りは2012年1月8日の予定。

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