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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第81回

monotron/monotribe開発者に聞く

なぜKORGは楽器の回路図を公開するのか?

2011年12月11日 12時00分更新

文● 四本淑三

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monotronは目的を持った最低限の形

―― まずmonotronから話を始めましょうか。DUOやDELAYの他にもバリエーション展開のアイディアはあったと思うんですが、最終的にDUOとDELAYの2台になった理由を教えて下さい。

坂巻 まず道具というのは何かをするための手段なわけですが、monotronは手段が目的化している部分が強くて、それが楽器たる部分と相反していない。ギターも曲を弾くためでなく、ただギターに触りたいためだけに弾くことだってあるわけですよね。だからアナログシンセも、鳴らすために触る、ということがあってもいいわけです。

坂巻匡彦さん。一風変わったシンセ「KAOSSILATOR」開発にも携わっている

―― シンセは音楽を作るための音を作るもの、という意識は強かったかも知れないですね。特にデジタル化されて以降は。

坂巻 なので、最初のmonotronではそれを取っ払って、操作すること自体を目的にしているんです。そこで今回のDUOとDELAYでは、今までとは違う目的を与えることで、アナログシンセの違う側面が見えてくるんじゃないか。じゃあ違う側面って何だろう、それで何か目的を持った最低限の形を考えられないか。それで高橋くんに「なにか考えてね」って。

―― 丸投げ! で、投げられた方としては、どう攻めたんですか?

高橋 まあ最初と違って、今回はもう形も決まっていましたしね。ツマミが5個、スイッチはこれだけ。それでパズル的な感覚で可能なことを考え、いくつかプロトタイプを作り、選ばれたのがこの2つということです。

高橋達也さん。高橋さんが開発した元祖monotronは「アナログシンセを再発明する」というコンセプトだった。今回はそれを2つの方向に進化させている

―― 選ばれなかったものはどんな感じでしたか?

高橋 LFOが3つとか、ノイズしか出ないとか、かなり極端なことを試していました。さっきの「目的を与える」ところで言うと、まず普通に弾けるのが"monotron DUO"で、効果音に特化したのが"monotron DELAY"で落ち着いた感じですね。

坂巻 アナログシンセをまじめに弾く人と、ひたすら変な音を作って効果音を鳴らす人がいる。これでその極端な両側がカバーできるなと思って。

高橋 DUOだと複数台あれば和音が弾けてしまいますからね。こんな感じで。

こうすると和音が弾ける……という例

―― 楽音の構成要素をバリエーションで補完するという方向はありませんでした? ベースとかパーカッションとか。

坂巻 そういう意味で言うと、今回の2つはあまり音楽的ではないかも知れないですね。バンドの中でどうこうというより、ドラマや映画も含めてシンセはどう使われたのか、その振り幅を広くする狙いもありました。アナログシンセの歴史を見せる感覚というか。

―― とすると今回は何年代まで来たんですかね? ディレイが絡んでスペーシーに使われるというと、70年代の半ばくらい?

坂巻 ああ、その辺までは来ているかも知れません。まあ、これでmonotribeも含めて、アナログシンセを更新していこうということですね。

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