弾けるmonotron DUO/効果音のmonotron DELAY
monotron DUOは音源となるVCO(発振器)が2基となり、VCO1の音をVCO2の信号で変調させるX-MOD(クロス・モジュレーション)が可能。振幅の長いビブラートから、金属的なFMシンセのような音まで、幅広い効果が出せるようになった。
また演奏用のリボンコントローラーは、monotribeと同様、階段状にピッチが弾け、さらにKAOSSILATOR的なスケールの選択機能も付いた。選択できるのはクロマチック(半音階)/メジャー/マイナー/オフ(無段階)。過激な音が出せることと同時に、“弾ける”monotronという位置づけのようだ。
monotron DELAYは、往年の“テープエコー”をシミュレートしたディレイを搭載している。磁気テープに録音した端から再生することで遅延効果を得るのがテープエコーだ。ディレイタイムはテープの走行速度と録/再ヘッドの距離に依存し、テープのヒスノイズやワウフラッター、周波数特性の劣化を伴っていた。そのために衰退していったが、今となってはその劣化そのものが独特のエフェクトと認識されるようになった。
monotron DELAYのディレイタイムは、テープの走行速度に伴ったピッチの変化もシミュレートしている。フィードバックを上げると発信に近い状態も演出する。そのままディレイタイムを操作してピッチを動かすと、60~70年代の映画やドラマで聴けた、ちょっとサイケな感じのSEも簡単に作れる。
シンセ部は、LFO(低周波発振器)のノブをメインに据えた極端な構成。リボンコントローラーは4オクターブにワイドレンジ化され、急激な音の変化もすぐに作れる。蛍光塗料で光るというクラブ仕様のモノでもあり、効果音に特化したmonotoronという位置づけのようだ。
音でバージョンアップするmonotribe version 2
monotribeの今回のバージョンアップでもっとも魅力的なのは、実はバージョンアップの方法かもしれない。通信インターフェイスを持たないmonotribeだが、「SYNC IN端子に音声信号を流しこむことで内蔵のメモリを書き換える」という、いまどきなんともユニークな方法だ。アップデータはWAVファイルで、メーカーサイトからダウンロードして、PCやiPodのようなプレイヤーで再生しながらmonotribeに読み込ませる。
Apple IIやPC-8001のような8ビットパソコンの時代には、FSK方式のような音声信号がデータ保存に使われ、同じようにプログラムをロードしていた。ただし、その時代のメディアはカセットテープだったから、データのドロップが頻発しエラーも絶えなかった。でもWAVファイルは音声のドロップを起こさないし、難なくアップデートできる。
アナログを売りにしているマシンが、アナログ音声でバージョンアップできるという面白さと相まって、これでユーザーの愛着も一層増すのではないかと思う。中にはこのバージョンアップの内容と手段を聞いて、monotribeが欲しくなった人もいるだろう。
バージョンアップの1つ“サンプル&ホールド”は、LFOのスピードを遅くすると、シーケンサーのステップと同期して値が変化していくというもの。VCFの開閉に使えば「ンパンポンプンペ……」とステップごとに違う音色が出せるのが面白い。アップデートされる内容は次の通り。
monotribe ver.2 アップデート内容
1. シンセパートが8ステップから16ステップに
2. シンセパートのボリュームオートメーションが可能に
3. LFOにサンプル&ホールド(S&H)を追加
4. パートごとのアクティブ・ステップ設定が可能に
5. 全シーケンス/シンセ/ドラム/ アクティブステップの演奏中の初期化が可能に
6. 細かい連打による「ドラムロール」
7. あらかじめ設定したゲートタイムでシーケンスを記録する「ゲートタイムホールド」
8. 同期中のテンポを半分にする「ハーフテンポ」
9. 複数台接続時に代わる代わる再生する「輪番再生」
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