アップルならクラウドもシームレス
今年のアップルの製品といえば、シラー氏が最初に紹介してくれた人気のハードウェア製品、OS X "Lion"とiOS 5の2つのOS、そしてiCloudがある。アップルにとっても大きな転換点となるiCloudのここまでの感触はどうなのだろう。
「実はまだiCloudが登場してからあまり時間は経っていないので語るには時期尚早かもしれないが、ここまでの結果にはとても満足している。iCloudはすでに何百、何千万のユーザーのiOS機器をバックアップし、機器間で電子メール、連絡先、カレンダー、写真といった情報を同期させている。
購入した音楽を聞きたい時に取り出せるようにするサービスは、今はまだアメリカでしか展開していないが、今後、対応国を増やしていく予定だ。
今はまだiWorkくらいだが、今後はより多くのMac用、iOS用のアプリがiCloudを通して同じ書類をどこからでも、どのデバイスからでも参照、編集できるようにする。いったん機能をONにしてしまえば、ユーザーはまったく意識することなく、これらの機能の恩恵を授かることになる。おそらく、これから数年後になったら、iCloudがなかった時代はどうしていたのだろうか、と疑問に思うことになるだろう」。
シラー氏の言う通り、iCloudは一度ONにしてしまえば、ほとんど意識することがないサービスなだけに、恩恵も分かりにくいかもしれない。
「それが、最初からサービスのデザインの目標だった。特に意識することなく、とにかくうまくいく。これがiCloudを開発していた時からの目標だ。一方で、他の会社のクラウドサービスを使うと、Android同様に“バラバラに作られた感”のせいで、その部分をより強く意識することになるかもしれない。iCloudは、ユーザーの目の前に『ほらクラウドだぞ』と突きつけるのではなく、魔法のように、何だか知らない間に勝手にうまくいってしまう、そんなサービスを目指して作った」。