どうしてiOS機器だけが変化を生み出すのか
アップルの製品、特にiOS機器に関して注目すべきは、単に多くの製品が売れているという商業的な成功だけではなく、これらの製品があらゆる市場を“再創造”していることだと筆者は思う。
たとえば、神戸大医学部付属病院では、杉本真樹医師がiPadで医療の分野に革命をもたらし始めている。北海道留萌(るもい)市では、公立はこだて未来大学と組んで、漁業者の乱獲を防ぐためにiPadの活用を開始した(関連リンク)。
杉本真樹医師は、iPad/iPhoneなどiOS機器上で動作する医療用画像(DICOM)解析アプリ「OsiriX HD」(オザイリクス)を用いて、手術時の情報共有を行なっている |
東京や大阪の一部の結婚式場では、「CHABiO」(チャビオ)というアプリの登場によって、結婚式の準備の方法に新風が巻き起ころうとしている。それ以外にも教育、薬剤、営業、いろいろな業界のさまざまな仕事がiOS機器で再発明されようとしているが、これははたして日本だけの現象なのか?
「もちろん、アメリカにも面白い事例はたくさんある。アメリカでの事例で私が個人的にもっとも注目しているのは教育分野への応用だ。そもそもiPadは、読み書きに最適なサイズと、1日中動作できるバッテリーを備えた夢の製品として、教育市場で大きく期待されている。
ビジネスへの活用でいえば、重役が出張に持っていくといったことから、工場のラインで働く人々の情報入力端末、レストランのメニューやワインリストから小売店のレジ代わりと……ひとつの機器がここまでさまざまに活用されるのか、と驚かされるくらいiPad 2が広まっている。
1年半前、iPadを発表した時は『こんな製品に使い道はあるのか』と尋ねる人が多かったが、今ではこんな使い道もあったのかと我々自身が驚かされるほどだ。しかも、そうしたiPad2の新しい活用法のひとつひとつが強い新しい需要を生み出している」。