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スマート忍法 虎の巻~iPhone編

iPhoneを1万円強で本気のオーディオにする「Olasonic」の術

2011年12月16日 12時00分更新

文● ニンジャ盛田/ASCII.jp編集部

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「気づけばそこに彼女がいた」くらいの立体感です

 能書きが楽しすぎてつい長くなってしまったが、ここでようやくスイッチオン、いよいよ聴きはじめることにする。「ボツッ」という電源オンの音がはっきり聞こえるのは、音楽にノイズが入るのを防ぐためにミューティング、消音回路を省略しているからだ。

 卵型スピーカーは、やわらかいシリコンのインシュレーターに座らせるように設置。スピーカーの角度はぐりぐり変えられるので、自分の耳に直接音が当たるようにした。

シリコンのインシュレーター(台座)に座らせるようにスピーカーを設置。鳴らしたい角度に変える

 再生から5秒も経たず、うぎゃーなんだこれー! と驚かされたのは定位感、どこで音が鳴っているかがパッキーンと分かる感じだ。ドックにつないだiPhoneの上から歌声が流れている感じで、右/左からしっかりとバンドの音が聴こえてくる。言葉で言ってても分かりづらいので図にするとこんな感じだ。

どこで音が鳴っているかがパキッと分かるのである

中域:◎

 そして音としては中域、ヴォーカルの声がやたらと生っぽい。特に女性だ。Ann Sallyのようにしなやかな声はより繊細に聴こえる。驚いたのは小西康陽「PIZZICATO ONE」からマイア・ヒラサワの「Bang Bang」で、やや大げさに言えば、録音された感じがほとんどせず、彼女がすぐ目の前にいるようなバーチャルっぽい感覚さえあった。

 なら生っぽさに逆行しているボカロはどうだと巡音ルカ「Just Be Friends」(Dixie Flatline)を聴いてみると、ボカロの声はより電子音っぽく、そういうボコーダーのような楽器が鳴っているように聴こえた。あくまで原音に忠実なのだと思う。

高域:△

 次に高域、キラシャリ系ポップス代表できゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」、PLUS-TECH SQUEEZE BOX「TEST ROOM」を聴いてみたところ、シャリ音が耳に付かないのはいいのだが、ちょっと抜けが弱いかもしれない。キックが強くリズムに乗りやすいのだが、中域にあるようなキラキラ感が高域にはやや足りない気がした。

 それはクラシックもやっぱり同じで、ブーレーズの振るマーラー交響曲第1番「巨人」(シカゴ響、1998年)第2楽章を聴いても、解像感は高いと思うのだが、やっぱりちょっと食い足りない。見かけと仕組みから、お嬢様的っぽい大人しい音かと思っていたが、むしろ大人っぽく艶っぽい音が得意な感じだ。

低域:○

 ならばと最後に低域を試す。ジャズピアノ、Vladimir Shafranov Trioの「White Nights」(澤野工房)を聴いてみると、ベースの一音一音がはっきり輪郭を持って聴けた。思わずうれしくなって最大音量まで上げるとキャビネットそのものがビリビリ震え、音が崩壊してしまった。とまあ、ここまで鳴ってくれれば御の字だ。

 ただ、夜にさすがにうるさいかなと感じてボリュームを絞ると、静かめな曲はわりとすぐ低域が聴こえなくなってしまう。なので静かに聴くときはバスブーストをかけて迫力を出し、音が出せるときはそのままブーストなしでボリュームを上げるのが良さそうだ。

 それより地獄なのは128kbpsでエンコードしたMP3が再生された瞬間で、音の解像感がズドーンと落ちたのが分かる。ビットレートで音の違いなんてあるのかよ、都市伝説じゃねーの、なら小さい128kbpsでいいよねなどと思っていた当時の自分が心底恨めしい。

忍者の結論――
ヴォーカル聴くなら絶対買い!

 というわけで聴いてみての感想は「ヴォーカル最強なので歌モノ好きなら絶対に買い」だった。中域の艶やかさは絶品で、この価格帯、この小ささで出せる音とはまったく思えない。クラブ系のテクノやヒップホップなど元気のある音にもとても向いていると思う。完全にクラシックしか聴いてませーんというとやや食い足りない感じがするかもしれないが。

 “原音に忠実”であることを心がけながら、しっかり音楽らしさを実感できるつくりになっている感じで、オーディオ初心者の忍者的には普通に大満足でござるよニンニン!


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