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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第92回

自宅のネット回線をWiMAXにして出費を抑える技

2011年11月29日 15時00分更新

文● 柳谷智宣

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WiMAX無線LANルーター「Uroad-Home」を導入!

 「Uroad-Home」はクレードルがない状態で幅98.25mm×奥行き36mm×高さ140mm、重量は190gとコンパクトだ。アンテナは内蔵されており、スッキリしたデザインになっている。背面には電源端子やLAN端子などを備え、底面には壁掛け設置用のねじ穴が開いている。

上面にステータスがわかるLEDを備える

背面には端子類を配置。電源ボタンはない

底面には壁かけ用のねじ穴が開いている

 セットアップはカンタンだ。本体にクレードルをセットし、LANケーブルとACアダプタを装着するだけ。あとは、有線LANケーブルをつないだり、無線LAN機器からアクセスすればいい。

設置完了

 まずは、デスクトップPCを接続してみる。有線LANケーブルをつなぐと、PCを起動したらあっけなく接続できた。対応する端子のLANランプが光るのでわかりやすい。

 無線LANの場合は、底面のシールに記載されているSSIDと暗号化キーで接続する。こちらもあっけなくつながった。無線LAN接続では同時に10台まで接続できる。一般的な家庭なら足りなくなることはないだろう。

iPhone 4Sで接続してみる

暗号化キーを入力したら即利用できる

 付属のツールをインストールする必要がなく、セットアップはとてもカンタンだ。トラブルになるような手順がない。これは、デジタルに詳しくない両親などにも勧められそう。

 気になるのは実効速度だ。有線LAN接続のデスクトップPCと「iPhone 4S」、Xi対応の「GALAXY SII LTE」でチェックしてみた。場所は五反田駅近くの住宅街にある事務所の中。部屋の中央ほどにルーターを設置し、同じ部屋でテストした。

 結果は下りが約8Mbpsとなった。上りはまちまちで、PCが3.5Mbps、iPhone 4Sが1.5Mbps、GALAXY SII LTEが4.5Mbpsという感じ。有線LAN接続と比べて無線LAN接続時はオーバーヘッドがあるかと思っていたが、ほぼ同じ結果か無線LANのほうが良好な結果だった。

 ただ、ほかの部屋に移るととたんに速度が低下する。同じ階なら2Mbps、下の階に行くと1.5Mbps程度になってしまう。バッファローなどの無線LANルーターと比べて、やはり感度や出力は弱い感じだ。メールの送受信やウェブの閲覧などは問題ないが、動画を視聴したり、バリバリとネットを使いたいならルーターがある部屋で作業したい。

 参考までに、GALAXY SII LTEのXi接続で計測したところ、下りが5Mbps、上りが1.2Mbpsという結果で、WiMAXの方が高速だ。ただし、ネットワークのレスポンスを示すping値はXiの方が速い。さすがは、NTTドコモといったところか。とはいえ、WiMAXの130msも決して遅いわけではないので、実用上は特に問題がない。

デスクトップPCの下りは「USEN」のスピードテストで計測

デスクトップPCの上りは「RBBTODAY」で計測

Androidスマートフォン(GALAXY SII LTE)は「speedtest.net」で計測

iPhone 4Sでは「SPEEDTEST」で計測した

 下りの実効速度が8Mbpsもあれば、大抵の用途では不満なく使えるだろう。例えば、127MBの「MHFベンチマークソフト」は56秒でダウンロードできた。GBクラスのデータをダウンロードするのはつらいかもしれないが、一般的な用途ではそれほど待たされないと思っていい。YouTubeではフルHD動画はもちろん、4K2Kの動画も1秒ほどで再生がスタートする。

重い4K2K動画もスムーズに再生できる

 上りの速度も速いので、Dropboxなどのデータの同期も問題ない。筆者は、まれに単行本の校正用PDFなど、数百MBのデータをダウンロードすることがあるが、それでも数分放置しておけばいいので、何とかなる。筆者はバックアップもかねて何回線か引いているが、WiMAXのホームルーターは十分利用できそうだ。

家族で利用するなら「ファミ得パック」がオススメ

 1つの契約で3台までの機器でWiMAX接続を利用できるが、同時に利用できるのは1台だけ。自宅に導入した場合、自分が外に出ている時に、家族がネットを利用することもあるだろう。その場合、これまでは2回線契約する必要があった。それでも安いことは安いのだが、新たに「WiMAXファミ割パック」というプランが提供されることになった。これは、2回線目の利用料金が2480円になるというもの。これなら、モバイルと自宅のWiMAXを同時に利用できるのだ。

2011年12月1日より受け付け開始。2012年1月31日まで契約した場合、デビューキャンペーンとして2279円の割引が2ヵ月間受けられる

 WiMAXのサービス開始当初は、サービスエリアのマップでチェックして購入したのに、実際に電波が入らず解約したという人が多かった。そんな人は「Try WiMAXレンタル」サービスを利用してみよう。クレジットカードを登録すれば、WiMAXのデータ通信カードやモバイルルーターを15日間無料で貸し出してくれるのだ。筆者も8月に引っ越した時に利用したが、ネットから申し込むだけですぐに届いた。ただ、モバイルルーターや新しいデータ通信アダプタはほとんど在庫がなく、旧式のアダプタしか借りられなかったのが残念。電波の有無をチェックするだけなら確かに事足りるのだが。

メールアドレスを入力すると登録フォームのURLが送られてくる。クレジットカードを登録する必要があるが、きちんと返却すれば課金されることはない

 モバイルでもインターネットを利用する人で、自宅のネット回線利用料を抑えたい人はWiMAXを検討してみよう。モバイル回線を契約している人なら月々5000円程度もコストを圧縮できる。WiMAXのサービスエリア内で、かつその実効速度で問題なさそうなら、導入をお勧めする。


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「ポケット百科 GoodReader 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)。


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