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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第78回

NWほぼ30周年記念、ほぼ1万字座談会!!!

ニューウェイヴは初音ミクで完成した?

2011年11月26日 12時00分更新

文● 四本淑三

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次は「初音ミクsingsパンクス」か?

―― この「ニューウェイヴほぼ30周年」関連のリリースで、先ほどサエキさんがおっしゃっていた怨念を埋められたとしたら、次のステップとしてはどうなるんでしょう?

サエキ 次はパンク編に行きたいなと。

―― 戻るんだ。

サエキ パンクっぽい曲は8 1/2だけなんですよ。リザードとかフリクションのようなバンドはカットしてある。でも、合わなくはないですよね、ボーカロイドとパンクって。

キャプミラ まあやりようだとは思うんですけどね。80年代のパンクにはバッチリ合うと思いますよ。

―― キャプミラさんのフューチャーナウを聴く限りはそう言う風に思いますね。

サエキ 今回やってみてパンクという方向に気持ちが行ったのは、「美術館で会った人だろ」があるんですよ。それとAunt Sallyで示された病的な世界。パンク・ニューウェイヴの時代にあった狂気のミクによる再現には凄いものがあって。それで自然にその方向のものをもっと聴いてみたいという気になったのはありますね。ぶっちぎりPは会うとジェントルな人ですけど、この人が持っている狂気のテンションは、前作でも感じたんですが、すごいですよね。会うと丁寧な方なんですけど、こだわりが凄いんですよ。ちょっと注文つけたら、メール越しだったんですけど、怖かったんですね。「それはできません!」みたいなね。



―― ははは、あんまり言うと欠席裁判みたいになってしまいますが。

キャプミラ でも、ボーカロイドは打ち込み側の技術で、かなり表現を変えられるものだと思います。

サエキ クラブ系になって、リズムがらみの音は極限まで進化したと思いますが、それが生かされる場として、ボーカロイドとニューウェイヴの組み合わせはありかなと思います。そこで開発された技術が、メインストリームのポップスに生きるという、ニューウェイヴ時代の開発順序が、再び繰り返される可能性だってあります。

―― するとテクノ歌謡以外の着地点というか、“来なかった未来”が実現するかもしれない?

サエキ 結局、テクノやニューウェイヴって、ポップスをコンピュータ化させる技術の開発段階だったといえますからね。でも、今のところJ-POPと、ニコ動シーンはまだうまく良い影響を与えあってるとは言えませんね。僕はもっとミクに狂ってほしいんですよ。パンクができるできないって、向き不向きよりは技術で解決していくタイプの問題かなと。それはMitchie Mのを聴いて確信しましたけどね。ミクというのは、新しいカタルシスを与えてくれるボーカリストということじゃないですか。肉声ではできない。そのカタルシスを開発してほしいわけですよ。

みろん そこは研究するしかないですね。

キャプミラ そうですね。

うどんゲルゲ ええ。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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