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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第78回

NWほぼ30周年記念、ほぼ1万字座談会!!!

ニューウェイヴは初音ミクで完成した?

2011年11月26日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ニューウェイヴの代表曲を初音ミクに歌わせる

―― 前作は評判良かったですよね。

サエキ はい、おかげ様で。その続編を作れたらいいなという話を漠然としていて。それで特定のバンドにするかオムニバスにするかというところで、オムニバスになったと。

―― 画期的なのは、ほぼ同じ選曲の「KING ソングス オブ ニューウェイヴ」も同時に出たことです。

サエキ なるべく同じ形でオリジナル音源が出せるようにということですね。ビクターの音源でそれがどこまで可能かということだったんです(今回のアルバムの発売はすべてビクターエンターテイメント)。結局はビクターにニューウェイヴの音源が多かったということなんですが、今はかなりメーカー間のやり取りが可能になってきて、ほぼ理想的な形で名曲をおさえることができたと。約1曲だけ残念な曲が出ちゃったんですけど。

Kenzo Saeki

―― Aunt Sallyですよね。「初音ミク sings〜」にはkihirohiroさんのカバーが入っていて、「KING ソングス〜」にはオリジナル音源がありません。なぜできなかったんですか?

サエキ ライセンスの許可がおりなかったんですね。でも15曲中14曲も揃えられたのは素晴らしいことだったと思いますね。比べてみるとPの優秀さもわかるし、感動もひとしおです。前半の3曲くらいは本当に似ているんで驚いちゃう。

Aunt Sally : 1970年代後半に関西で活動していた伝説のパンクバンド。Phewが在籍していたことでも有名

とてもマニアックな競合がいた


―― ニューウェイヴと言っても幅広いわけですが、この選曲意図はどの辺でしょう?

サエキ 素直に代表曲を集められたなということです。ジェニー、美術館、COPY、20世紀、玉姫、福の種、東京ガール、ここまでは間違いないと思うんです。もうひとつ、この選曲になった理由は、「爆裂!ニュー・ウェイヴ 1980」という、競合する、微妙な選曲のアルバムがあったんですよ。

爆裂!ニュー・ウェイヴ 1980 : 2006年にビクターから発売された、いぬん堂監修による2枚組のコンピレーション盤。8 1/2、P-MODEL、ヒカシュー、PLASTICS、戸川純、チャクラ、ザ・ノーコメンツ、SPY、野宮真貴、コスミック・インべンションと収録アーティストは相当カブる

Image from Amazon.co.jp
爆裂!ニュー・ウェイヴ 1980

―― 微妙といいますと?

サエキ 貴重な音源とド直球の代表曲が入り交じっているんですね。かなりレアな曲も入っているという、非常に悩ましいアルバムで、これとの重複を避けたいというマニアックな判断があったんです。素人の人には関係ない話なんですけど、コアなニューウェイヴのファンは、両方とも買うと思うんですよ。70人くらいになっちゃうかなと思うんですが。

―― この選曲には何か政治的な絡みがあってのことと思ったんですが。

サエキ 実はなんてことない理由だったわけです。あ、あともう一つね。ニューウェイヴの定義は難しいんですけど、NOT PUNKなんですね。パンクっぽいのは8 1/2の「シティーボーイ」が入っているんですが、これはメンバーが上野くんがいて、ニューウェイヴっぽい。しかもこの時期の8 1/2には、ギターいないですからね。

8 1/2 : 「はっかにぶんのいち」と読む。その後ハルメンズで活動するドラマーの泉水敏郎、同じくハルメンズ、ゲルニカで活動した作曲家、キーボーディストの上野耕路も参加していた

―― なるほど。8 1/2だけ浮いている感じがしたんですが、そういう理由なんですね。あと、ポータブル・ロックと野宮真貴がダブルで入っているのは、同時に出る他のアルバムとの兼ね合いですか?

サエキ 今回、ポータブル・ロックは再結成のツアーと「ビギニングス」の再発があるのでマストで入れたかったんです。野宮真貴デビュー30周年のトリビュートでもあるんですね。

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