ずっと前から“ものづくり”が好き
―― 大学院でホログラフィーを学ぶまでもバリバリの理系だったんですか?
Aono 高専出身なんですが、そのころからモノを作るのが好きだったんです。LEDを光らせて遊んだり、電光掲示板を作ってみたり。その頃は「こんなのできるかな」「できた!楽しい!」という自己満足で終わってたんですが。
―― そこから理系として大学院に行って、立体映像に出会ったと。
Aono あのころは研究が楽しくて楽しくて仕方なかったです。教授に言われたことなんかは全然やらなかったんですけど、ホログラムの中で自分がやってみたいことをやっていくのが楽しくて。
―― やってみたいこと?
Aono 研究室で作った装置で初音ミクを映してみたりとか。
―― ホログラフィの“ミクさん”がいたわけですか。
Aono いましたねー。立体写真の技術でねんどろいどのミクさんを立体化してみたり。
―― 今でも立体映像業界は追いかけつづけてるんですか?
Aono はい。最近すごいなと思ったのは去年のCEATECで、ぼくが勝手ながらライバルだと思っているNICTさん(独立行政法人 情報通信研究機構)が展示していた電子ホログラフィーです。
―― ライバル!
Aono NICTさんは今年のCEATECでも展示された、数十台のプロジェクターを使用した200インチの立体映像表示システムを手がけていて、そこが心のライバルたるゆえんです。それと僕の中での投影方式の立体映像といえば、東京農工大の高木先生という方がいらっしゃいまして、その方も一昔前、投影方式で多視点の立体映像というのをやってらっしゃったんです。ぼくも大学時代はかなりそれを参考にさせていただいてます。
―― ものづくり以外に、映像の編集もされてますよね。
Aono とにかく“何かを作る”のが好きだったんです、映像にしてもモノにしても。最近は“何かをつくる”が、ビジュアル的なものや、目に見えるなにかに収束しているイメージがありますね。僕の中では、色々な何かをつくることを通して、何かを“伝える”ことをしようとしてるんだと思います。