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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第81回

新ポメラ DM100は「モバイル機器の聖杯」になったか?

2011年11月24日 06時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 キーボードの機能という点では「親指シフト」入力に対応したことも、大きなトピックだろう。キートップを貼り替えるためのシールが付属するほどの力のいれようだ。だが、この機能の善し悪しについては、親指シフト使いでない筆者からコメントするのは適切とは思えないので、避けておこう(「うしてけせはときいん」くらいはわかるが、自由にタイプすることはできない。関連記事)。ただし、親指シフト入力はあくまで「ポメラとしての機能」であり、Bluetoothキーボードとして使った時は有効にならない点に注意しておきたい。

親指シフト操作用のシールが付属する(下)

 さて、最後に評価を下したい。形は変わったが、DM100は意外なほど「ポメラ」だ。機能追加によって確実に便利になった。ポメラという製品を求める人には、おすすめできる。「書くことしかできない」がゆえに、集中して作業ができるという美点は旧ポメラ譲りであり、快適だ。「多機能になって軸がぶれた」と言われることもあるが、使ってみると軸は変わっていないことがわかる。

 だが、筆者にはどうも「しっくり」こない。快適なのにしっくりこない、とは矛盾するようだが、そうとしかいえないのだ。

 理由は細かなことだ。例えばキーボードのタッチ感が、好みとはちょっと違う。本体を開いてから書き出すまでの「儀式感」が、なんとなく違う。ソフト的な面でいえば「ATOK」が気になる。搭載されてはいるが、マシンパワーの問題からか、その能力はかなり限定されている。旧ポメラを試用した2年前には「このくらいで十分」と思っていたが、スマートフォンでもATOKが使えるようになった今、変換能力の差による誤変換の量が気にかかった。

 これらの点は本当に些細なもので、すべての人にとって「しっくりこない」わけではなかろう。例えるなら、「いいペンなのに書き味が気に入らない」状況だ。

 ソフトによって姿を好きに変えられて「機能」の支配度が強いパソコンやスマートホン以上に、ポメラは「文具」度が高い。だからこそ、「しっくりくる」かどうかが大切なのでは、とも思うのだ。DM100はこの種の製品を求める人にとって、理詰めでいけば十分にお勧めできる製品になっている。あとは、あなたに「しっくりくる」か否かだ。

お勧めする人
・集中して文字を書く環境を求めている人
・パソコンよりも軽い機器で文字をタイプしたい人
ポメラ DM100 の主な仕様
CPU 非公開
メモリー 128MB、1ファイル4万字を最大1572ファイル
ディスプレー 5.7型 800×600ドット
インターフェース mini USB
サイズ 幅263×奥行き118.5×高さ24.6mm
質量 約399g
バッテリー 単3形アルカリ乾電池×2、または単3形エネループ×2
バッテリー駆動時間 約30時間(アルカリ乾電池使用時)
対応OS(PCリンク時) Windows 7/Vista(Enterpriseのぞく)/XP (32/64bit)
Bluetooth対応機種 iPad2、iPad、iPhone4S/4/3GS、iPod touch(4、3世代)
価格 3万7800円
■Amazon.co.jpで購入

■関連サイト

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)。最新刊は「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。

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