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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第39回

スマートフォンでのブランド確立を目指す中国の2大メーカー

2011年11月16日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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Windows Phoneにも力を入れるZTE
他社が手を引くフィーチャーフォンでもしっかり稼ぐ

こちらは日本通信が販売しているZTE製「Light Tab」。グローバル端末で十分という考えが日本でも広がると、どんどんこのような端末が増えてくるだろう

 一方のZTEもAndroidベンダーとして成長してきたが、初めて「Windows Phone 7」(Mango)を採用した「Tania」を発表している。これにより、同社はSamsung、HTCなどのようにスマートフォンでマルチOS戦略を採ることになる。

 ZTEの米国支社を率いるLixin Cheng氏は11月はじめ、アメリカで開催された業界イベントで、Windows Phoneを積極的に展開する方向を示した。「業界には(iOSとAndroid以外に)もう1つのOSが必要だ」とCheng氏は述べ、両方にコミットすると述べた。Windows Phone搭載機はアメリカとヨーロッパで年内に投入し、来年はラインナップを拡充していくという。

 同様に標準OSを搭載しないフィーチャーフォンも積極的に展開する。スマートフォン時代になり、フィーチャーフォンに手が回らなくなりがちなメーカーが多い中、「わが社にとってはチャンスだ」とCheng氏。「われわれの事業の60%から70%がフィーチャーフォン。ユーザーの中にはタッチを好まない人もおり、このセグメントは当分残る」と述べ、シェア増に貢献しているのはフィーチャーフォンであると明かした。

 同社がもう1つ、注力するのが低価格帯スマートフォンだ。中国市場、そしてアメリカなどローエンドの需要が高い地域に積極的に展開する。Cheng氏は中国で1000元(約1万2000円)を切るスマートフォンが好調であることに触れ、アメリカでも中国でも、「(出荷する携帯電話の)3割程度がスマートフォンだ」と明かした。

 このように、ZTEとHuaweiは“安価な中国ベンダー”から、コンシューマーブランドに転身を図りつつある。中国と成長国の両方で成長戦略を敷いており、今後HTCやLGなどを脅かす存在になる可能性もありそうだ。

 ところで、Androidあるところに常にMicrosoftの影あり。MicrosoftはすでにZTEと特許ライセンス契約を結んでいるが、少し前にHuaweiと交渉中と報じられている。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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