パソコンやスマホの充電から大画面テレビまでOK
まずは、MacBook Airをつないで電源を入れてみると、即充電が始まった。まだまだ余裕のようだ。照明機器やアロマファンを付けても問題なく動作する。手持ちのスマートフォン10台を充電したいので、タコ足配線が使えるかどうか確認してみると、「使用しないでください」とは書いてある。ただし、その後続けて「やむを得ず使用する場合は接続する機器の消費電力の合計が300Wを超えないように」とある。そこで、携帯電話やスマートフォンを10台充電してみたが、まったく問題なし。電源をオンにすると同時にピッと鳴るのが気持ちいい。
次に、普段使っている空気清浄機をセット。おそるおそるだったが、結局ターボ動作でも問題なし。マニュアルを見たら消費電力が最大65Wだったので余裕だったようだ。
実験を続けてみる。ホームページには利用できる液晶テレビは40型以下と書いてある。とはいえ、消費電力が低ければ問題なかろうと、55型の「LED REGZA 55RE1」をつないでみた。消費電力が212Wなので、こちらも問題なし。そこそこ大きなボリュームで地デジ番組を流しっぱなしにしてみた。電池の残量が少なくなってくると点灯するLEDが減り、バッテリー容量が10%を切るとLEDが点滅し始める。最後にはいきなり電源が切れた。電池が少なくなった時にアラームが鳴ったりすれば便利だが、そのような機能はなく残念。結局、2時間半近く視聴できた。少々の停電なら、テレビを見て過ごせそうだ。
さらに映画を見たいと言うことで、「プレイステーション3」(CECH-2000)を繋げてみることに。定格消費電力は250Wなので、合計362Wと容量オーバー、のはず。テレビを付けた状態で、PS3の電源をオン。いきなりCP-S300の冷却ファンが回転を始める。うるさいと言うほどではないが、テレビの視聴には明らかに邪魔になるレベル。大きな電力を供給する際は、ファンが回転するようだ。とはいえ、PS3もあっけなく起動。問題なく、BDビデオを視聴できた。ただし、ほとんどファンが回りっぱなしになる。
容量をオーバーした時の挙動も見たいので、タコ足配線にしたうえ、アンプを繋げて電源オン。すると、保護回路が働き、テレビやPS3も含めて、コンセントからの電源供給が遮断された。
いざというときにあると心強いエネルギーサーバー
CP-S300は満充電の状態から電源を外して保管しておいた場合でも、1年後に90%の容量を維持している。長期間利用しない場合は、ACアダプターを外しておくのだ。逆にACアダプターをつないでいたとしても、電源ボタンを自分で押す必要があるため、UPSのような使い方はできない。万一に備えて、リビングの端にでも置いておくと心強いだろう。
とはいえ、せっかくのエネルギーサーバーなので、もっと積極的に活用してもいいだろう。電源のないベランダに持ち出して、オーディオ機器や大画面ノートPCなどを存分に利用できる。コンセントがない縁側に持ってきて、BBQや花火の時にみんなのスマートフォンを充電できるようにしてもいい。フル充電にかかる電気代は、1kWhあたり約18円、300Whなら5~6円で済むので気にする必要はないだろう。2010年、ソニーはアフリカの無電化村でCP-S300を使い、FIFAワールドカップの南アフリカ大会の様子をパブリックビューイング形式で上映している。本製品は屋内専用となっているが、アウトドアでプロジェクターを動かせれば楽しそう。ぜひ、アウトドア利用にも対応してほしい。
また、バッテリー駆動時はAC電源のノイズが発生しないため、オーディオマニアから熱い視線が注がれている。筆者の耳では違いはわからなかったが、マニアなら試してみたいアイテムだろう。
気になる価格は15万円。UPSが2万円程度で購入でき、4年に1回のバッテリー交換で約1万円かかることを考えても、割高に感じるかもしれない。しかし、10年間メンテナンスフリーで利用できるうえ、使わないなら1年に1回充電するだけでいいという手軽さは大きな魅力だろう。UPSは玄人向けのアイテムという感じだが、エネルギーサーバーCP-S300は家庭に1台あってもいいデザインと操作性だ。停電しがちな家や地域に住んでいるなら、購入を検討してみる価値はある。筆者も試用してみてやはり欲しくなった。購入する寸前だったが、今後の製品でUPS機能やUSB端子を搭載する予定だという。買うべきか、買わぬべきか。次の停電が来る前に、後悔しないように判断しなければ。
筆者紹介─柳谷智宣
1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「ポケット百科 GoodReader 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)。
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