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MSと電通、ソーシャルで提携の同床異夢

2011年11月15日 12時28分更新

文●小橋川誠己/Web Professional編集部

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 日本マイクロソフトと電通グループは、10月26日、ソーシャルメディア・マーケティング領域において業務提携すると発表した。具体的な提携の成果として、Facebookページの作成・運用ツールsociobridge(ソシオブリッジ)をリード・レックスと共同で開発し、電通子会社の電通レイザーフィッシュが販売する。

 sociobridgeは、企業用のFacebookページの作成や、コメントの投稿・確認機能を持つソーシャルメディア・マーケティング運用支援ツール。最大の特徴は「日本の文化に合った承認ワークフロー」(電通レイザーフィッシュ アカウント1部の高林 努部長)。大企業から運用を請け負った制作会社や代理店の書き込みを、クライアント企業の担当者や決裁担当者が事前に承認してから公開できる機能が売りだ。料金は月額8万9250円で、競合の「エンゲージマネージャー」(トライバルメデイアハウス)などに比べ安価に設定した。

sociobridgeの特徴は「承認フロー」にある

 年内には効果測定機能や写真/動画の管理機能も追加する予定で、「3年間で4億円の売上げを見込む」(高林氏)という。

ツール販売で本業を拡大

 「3年で4億円」という数字は、世界最大の広告代理店と世界最大のソフト企業の日本法人との提携にしては(今回の発表が第1弾としても)、あまりにも小さい。だが、両社のねらいはそれぞれ別のところにあるようだ。

 電通レイザーフィッシュのねらいは、Facebookページの制作から運用まで一貫して請け負うことで、ソーシャルビジネスを拡大することにある。sociobridgeの特徴である承認フローは、あらかじめ代理店や制作会社が運用に絡む前提で設計されている。Facebookページの制作は単価が安く、制作だけでなく儲からない。一方でソーシャルに不慣れな大企業では、運用に対する担当者の不安が大きい。ツール販売をソーシャル案件獲得の呼び水にし、固定の運用費をもらってコメント監視や投稿まで丸ごと請け負うシナリオに電通は持ち込みたいわけだ。

 日本マイクロソフトが狙うのは、「Windows Azure」の拡販だ。sociobridgeはWindows Azure上に構築されており、sociobridgeで作成したFacebookページのコンテンツはAzure上にホスティングされる。sociobridgeでのノウハウをもとに、Facebookアプリの基盤としてAzureを普及させたい考えだ。日本マイクロソフト クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部エグゼクティブプロダクトマネージャーの大谷 健氏は、「キャンペーン運用など、必要なときだけ利用できるクラウドのモデルにマッチする」と話す。

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