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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第77回

業界は不況でも、音楽の未来は明るい!――楽器フェア2011

2011年11月12日 12時00分更新

文● 四本淑三

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スピーカーの試作開発の技術が生かされた
大田区産の座るドラム「カホン」

 カホンというと、なんとなくノホホンとした感じの打楽器というイメージだが、最近はそのコンパクトさからストリート系の楽器としても注目されている。そうしたユーザー向けに、そのものズバリのデザインで登場したのが、東京の大田区に工房を持つbeatingの製品。去年の9月に設立されたばかりの新興打楽器メーカーだ。

 カホンは手タレPも1mmのライブでバリバリに使っていて、1台でバスドラやスネア、リムショットのような音まで叩き分けられる、汎用性の高い楽器だ。木の箱の中に響き線が張ってあるだけの単純な構造だが、ゆえに軽くて持ち運びも楽なのだ。

手タレPが試奏を始めると「パーカッショニストの方ですか?」とメーカーの人に声をかけられ、詳細な説明を訊かせてくれた

ちょっと見づらいが本体の中には、スネアと同じような響き線が張ってあり、そのテンションをノブで調整できる

試作品の大きなベースカホン。低音が豊富で、人力ドラムンベースに最適(叩ける人には)

 背面にホールの空いたコンパクトなC1、底面にホールの空いたC3 markIIとC5という3モデルの展開。底面にホールのあるモデルは、低域の増強が狙いらしく「低音の聞こえ方が普通と違う」と手タレPも言っていた。またホールが下にあることで、カホンのすべての面が打面として使えるというメリットもある。

 Beatingのカホンは、大手オーディオメーカーのスピーカーの試作開発を行なってきた工房で、職人が手作りで仕上げているという。スピーカーが描かれたグラフィックの新鮮さも去る事ながら、調度品のような見た目も美しい。今後に期待のメーカーだ。

beatingのプロモーションビデオ。ベースとのリズムアンサンブルは、これまでのカホンにないイメージを打ち出している

学研「SX-150 MARK II」
そしてまだ出ないウダー

 ついに楽器フェアにも学研ブース登場! これまで雑誌「大人の科学」のおまけとして、様々なガジェットを展開してきた学研が、遂に楽器メーカーとしてスタート。それが「大人の科学 SOUND GADGETシリーズ」で、売り場もこれまでの書店から楽器屋さんへと移ることになる。

 その製品第一弾が「SX-150 MARK II」(Amazon.co.jp)というアナログシンセ。2008年に「別冊大人の科学 シンセサイザークロニクル」のおまけとして付いてきた初代「SX-150」のグレードアップ版。4オクターブにワイドレンジ化され、LFOのデプス、VCFのレゾナンスのつまみが新設された。

SX-150 MARK IIは雑誌の付録ではなく楽器として単品で売られる

 実際に音を鳴らしてみると、レンジが広がったおかげで低音の厚みがすごい。LFOもワイドレンジ化されたおかげでFM変調も可能になり、かなり過激な音が出る。これはKORGのmonotronシリーズも、うかうかしていられないのではないか。

 このSOUND GADGETシリーズには、光オルガン、ボコーダー、コンパクトミキサーなどが予定されているという。謎の楽器としてすっかりおなじみ宇田道信さんの「ウダー」も、このシリーズで発売される予定なのだ。が、量産までには、まだ克服しなければならない課題があるようで、発売時期は未定ということだった。待ち遠しい!

すでに博物館の展示のようになっている歴代ウダーと、宇田さん手書きの設計メモ。一番右が量産プロトタイプのウダー

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