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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第42回

PS3/PSP向け3Dディスプレー「CECH-ZED1J」を試してみた

2011年11月22日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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フル画面で対戦プレイができる「SimulView」が凄い!!

「グランツーリスモ 5」での対戦プレイを「SimulView」で表示したもの。裸眼で見ると、異なる2つの視点の映像が重なった状態で表示されている

「グランツーリスモ 5」での対戦プレイを「SimulView」で表示したもの。裸眼で見ると、異なる2つの視点の映像が重なった状態で表示されている

上の画面を2つの3Dメガネで見ると、片方では1プレーヤー用、もう片方では2プレーヤー用の映像だけが目に映る

 3D表示機能をさらに生かせる機能「SimulView」が本機には備わっている。これは、3D表示が右目用/左目用の映像を交互に切り替えて表示する仕組みを利用して、1プレーヤー用映像/2プレーヤー映像を交互に表示するもの。

 つまり、3Dメガネを2つ用意してSimulViewで見ると、画面は1つなのにそれぞれの3Dメガネには異なる画面(1プレーヤー視点/2プレーヤー視点)が同時に表示される、というわけだ。通常の場合、対戦プレイは画面を上下または左右に分割して2つの画面を表示するわけだが、これならばどちらの画面もフルサイズで楽しめる。

 3Dメガネを使っていても見える映像は2Dというのが不思議な感じだが、兄弟で、あるいは友達を家に呼んで対戦や協力プレイができるようになるのはなかなか面白い利用法だ。対応したソフトは、現在のところ「グランツーリスモ 5」のほか、「キルゾーン3」、「スターストライクHD」(「プレイステーション 3」オンライン配信専用タイトル)とまだ少ないものの、今後の普及が楽しみだと思う。もちろん、この機能は一般の3Dテレビでもぜひ搭載してほしい。

素性がいいディスプレー性能に感心

テストチャートの映像を撮影。驚くことに1000本以上の解像度を示すチャートも鮮明に再現。にじんだり、太書きになりがちな600~900本あたりのチャートもすっきりと再現される。かなりの高解像度な再現だ

テストチャートの映像を撮影。驚くことに1000本以上の解像度を示すチャートも鮮明に再現。にじんだり、太書きになりがちな600~900本あたりのチャートもすっきりと再現される。かなりの高解像度な再現だ

 ここからは少しイレギュラーであるが、BDレコーダーを接続してテレビ放送やBD映像を映してみた。光沢パネルはコントラスト感が高く、艶やかな再現ができるのはいいが、暗い場面などで自分が映り込むのは気になる。画面をやや上に傾けると照明も映り込む。このあたりは光の反射を抑えるノングレアパネルの方が使いやすい気もする。

 色再現は主に赤系の色の再現がやや弱いように感じられ、青と緑系の鮮やかさが強調されがちになる。多少あっさりとした印象ではあるが、精細感が高く見通しの良い映像になる。なお、赤色は真っ赤な色を見るとやや朱色に寄る傾向があり、肌の色も血色の良い健康色というよりは、透き通るような美白肌に再現される。

 気になったのは色再現くらいで、実際には4万円で買えるディスプレーとしてはかなり高性能な印象。驚いたのは解像度の高さで、わりと高性能なフルHDの薄型テレビでも不鮮明に再現されがちになる1000本以上の解像度を示すチャートを極めて鮮明に再現した。

 これは、テレビ的な画像処理--具体的には、輪郭の立った“くっきり画質”を演出するための輪郭強調など--が行なわれていないためだと思われる。

 輪郭強調を行なうと、実際のラインのわきにもうひとつ白っぽいライン(擬似輪郭)が生じる。これによって輪郭のキリっとした印象になるのだが、実は解像度は下がっており、細かいラインがもやもやと不鮮明になる。

 また、600~900本あたりのチャートもラインが太くなりがち(これも映像がくっきりとした印象になる)で、その影響で隣のラインとの干渉縞などが発生する。

 これらをまとめると、不必要に“お化粧”をせず映像そのものをストレートに表示する画質と言える。映像をきれいに見せるための細工がないので、映像素材そのものの良さがそのまま映し出されるというわけだ。いわゆるモニターディスプレーらしい画質傾向だ。

 これでテレビ放送を見ると、放送映像に乗ったMPEGノイズなどが目立ちやすくなるし、出演している女性タレントの肌が思った以上に荒れていることにも気付くなど、必ずしもいい画作りにはなっていない。しかし、そもそもがゲームディスプレーだし、どうしてもテレビが見たい、という場合は必要に応じて画質調整を行なうといいだろう。

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