薄型軽量でもカットされていない部分という点では、ボディー剛性の高さも評価したい。低価格なノートではどうしてもボディーが安っぽく、やわな感じになりがちだが、R631は非常にしっかりしている。持った時の安心感もさることながら、キーを打った時の“しっかり感”がいい。
キーは最近の東芝製パソコンではおなじみ、アイソレーションタイプのもの。ストロークは浅いものの、打ち心地はいい。特に剛性感が非常に良好で、たわみなどを一切感じない点がうれしい。配列にも不自然な部分はなく、Enterキーが大きめであるのもありがたい。
他方で、若干弱く感じるのはディスプレー部のヒンジだ。膝の上で使った時などに、ちょっとディスプレー部がフラつくのだ。机の上で普通にタイプしている分には気になるものではないし、もちろん、勝手に倒れてくるようなこともない。だから大きな問題ではないと思うが……。
この薄さの中にヒンジを入れるために、ヒンジ径が小さくなったためだろう。だが一方で、ヒンジ径が小さくトルクが軽くなったため、ディスプレーを片手で軽く開けるようになっていることは、プラスと考えていい。
パフォーマンスと発熱の小ささから感じる
「作りの良さ」
パフォーマンスの点はどうだろうか? R631はSandy Bridgeプラットフォームを採用し、CPUには超低電圧版Core i5である「Core i5-2467M」(2.30GHz)を使っている。Ultrabookは「ノートパソコンの新プラットフォーム」という扱いになってはいるものの、現状では特別なCPUを使っているわけではなく、「超低電圧版CPUを使う、薄型モバイルノートブランド」くらいの位置づけと考えていい(今後は違ってくるようだが)。
逆に言えば、R631のパフォーマンスも、そこから類推できるものの範疇と言える。Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「5.6」。ディスクリート型GPUを使わない製品としては、平均的な値といえる。ストレージがSSDであり、その値が「6.7」と比較的高いこともあってか、利用時のパフォーマンスはかなり良好だ。読み込みの速いSSDの利用を前提とした「体感速度の良好なモバイルノート」という、MacBook Air登場以降のトレンドに乗った構成は、新奇性はないものの、その快適さは本物だ。
随所に設計の確かさを感じるのも、R631の美点といえる。
まず第一に、発熱を非常に感じにくいことが挙げられる。アイドル時はもちろんだが、フルパワーで動作している時でもR631は発熱を感じにくい。もちろん発熱していないわけではない。なんとなくキーボード部右側の、キー面の下(すなわちボディー)には熱を感じるし、その上のディスプレーとキーの間のスペースは熱くなる。
だが、人の手に触れる部分であるキーボードやパームレストにはあまり伝わらず、快適さが維持されている。放熱部を巧みに配置し、熱伝導経路をしっかりとマネジメントしているからこそ、こういう快適さが実現できているのだろう。
もうひとつ、R631の良いところは、通信モジュールにWiMAX搭載のモジュールを採用している点だ。低価格化のためか、海外ではWiMAX搭載が重要視されていないためか、現在発表されている他社のUltrabookでは、WiMAXが搭載されていない。日本国内ではWiMAXのエリアが充実してきたこともあり、かなり重要なインフラになりつつある。また、アメリカの西海岸など一部の地方に行く場合、パソコンでのWiMAXローミングは最も快適な通信手段のひとつと言える。この点だけを見ても、ほかのUltrabookとは一線を画している。
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