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サービスプロバイダーをユーザーからパートナーに据える

vForumで披露されたハイブリッドクラウド戦略とは?

2011年11月09日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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11月8日、VMwareはプライベートイベント「vForum2011」を開幕し、それに合わせる形で同社のハイブリッドクラウド戦略に関するプレス向け説明会を開催した。

プライベートからハイブリッドへの道程

 ヴイエムウェアは当初企業ユーザー向けの仮想化インフラを主力製品としていたこともあって、クラウドに関してもまずは企業内でプライベートクラウドを実現するためのインフラソフトウェアの整備に注力していた。一方でインターネット上でサービスを提供する、いわばパブリッククラウド事業者に対しては積極的な買収戦略によって、自社提供のサービスメニューを拡大するという形でパブリッククラウド分野にも事業を拡大した。順序的には最後になった感があるが、このタイミングで今度は同社のハイブリッドクラウドに対する戦略が明確化された形だ。

ヴイエムウェア 代表取締役社長 三木 泰雄氏

 まず登壇した同社の代表取締役社長の三木 泰雄氏は、今回のvForumが過去の開催とは異なる点として、「クラウドサービスプロバイダがイベントのスポンサーに加わった」ことを挙げた。従来のスポンサーはIAサーバーのベンダーやストレージベンダー、VMwareと組み合わせて利用可能な各種ソフトウェアを開発/販売しているベンダーなど、IT企業が主となっていたのだが、今回から「vCloudパートナースポンサー」という枠が設けられ、ソフトバンク、CTC、NTTコミュニケーションズの3社のロゴが表示されていた。この変化について同氏は、「これまでクラウドサービスプロバイダはVMwareから見ると“エンドユーザー”という位置づけだったが、今は“パートナー”という位置づけになった」と語った。

 今年2月に、ソフトバンクテレコムが日本国内で初の「VMware vCloud Datacenter Services」認定サービスプロバイダになったことが発表された。この時点でサービスプロバイダは同社の製品を活用する大口ユーザーとしてだけではなく、共同でエンドユーザーに対してソリューションを提供するパートナーに変わったわけだが、vForum開催のタイミングという点からは、今回の開催からこの変化がイベント運営にも反映される形になった、ということだろう。

従来通りの3分野でハイブリッドクラウドに取り組む

 続いて、米本社から来日したクラウドプラットフォーム事業担当上級副社長のラグー・ラグラム氏が同社のハイブリッドクラウドへの取り組みに関して説明を行なった。

クラウドプラットフォーム事業担当上級副社長 ラグー・ラグラム氏

 同氏はクラウドを「ビジネスに対する根源的なシフトを引き起こす」ものだと位置づけ、従来の仮想化の導入理由として真っ先に挙げられていた“コストメリット”に留まらず、さまざまなメリットがクラウドによってもたらされると指摘した。また、同氏はクラウドによって企業がITサービスを提供するやり方が変わるとし、そこで起こる変化をインフラ、アプリケーション、ワークフォースの3分野についてそれぞれ指摘した。

インフラ、アプリケーション、ワークフォースの3分野

 インフラでは「より柔軟で効率的な単一のインフラに」、アプリケーションでは「既存のアプリケーションと新しいアプリケーションの共存」、ワークフォースでは「より強力でセキュアなモバイルワークフォース」が、それぞれ実現されるという。そして、こうした変化を支援していくための技術や製品、サービスを提供していくというのが同社の一貫した取り組みだということになる。

仮想化インフラが“IT as a Service”の実現に向けて段階していく過程で得られるメリットもさらに豊富になっていく、という認識は同社が以前から一貫して主張しているものだが、新たに縦軸にクラウドが加わり、エンタープライズハイブリッドクラウドによって得られるメリットを示す形にアップデートされた

 また、同氏は企業での仮想化への取り組みが着実に進展していることも指摘した。同氏が紹介した、企業内で活用されているミッションクリティカルアプリケーションがどの程度仮想化されているかを示す調査データでは、2010年1月の時点に比べて今年4月には対象となったアプリケーションのどれも仮想化比率が上がっていることが示され、企業にとっても仮想化の利用に対する抵抗感が薄れていることが伺える。

同社の製品スタックを“The Hybrid Cloud Stack”と位置づけ直し、さらに仮想化環境への移行段階で活用される製品と、本番アプリケーション環境を支援するためのツールとに整理した図。“vCenter Orchestrator”がインターフェイスを提供し、外部のさまざまなソリューションと接続するほか、VSM(VMware Service Manager)が外部のクラウドと接続してハイブリッドクラウドを実現する

 ちなみに、同氏が紹介したデータからは特にマイクロソフトのサーバアプリケーションが仮想化環境で使いやすいことがうかがわれ、Microsoft SharePointでは実に67%が仮想化環境で運用されているのだという。こうした状況を受けて同氏は、同社のソフトウェア製品群を“ハイブリッドクラウド・スタック”と位置づけ直し、さらに本番アプリケーション環境で活用可能なものであることをアピールした。また、サービスプロバイダー各社によって提供されるVMware vCloudがそのままハイブリッドクラウドとイコールであると位置づけ、この分野でのパートナーとの協業体制を重視することも明確にしている。

サービスの提供ではパートナー・エコシステムによる多彩な選択肢が実現することを示すと同時に、“VMware vCloud = Hybrid”と明確にした図

 説明会では、アイ・ティ・アールの代表取締役/プリンシパル・アナリストの内山 悟志氏による日本国内のハイブリッドクラウドの動向に関する分析や、パートナーである伊藤忠テクノソリューションズ、NTTコミュニケーションズ、ソフトバンクテレコムの3社によるそれぞれのクラウドサービスの概況紹介なども行なわれ、クラウドサービスプロバイダーとの協業関係が前面に打ち出される形となっていた。この、サービスプロバイダー各社とのパートナーシップの強化こそが、同社のハイブリッドクラウド戦略の根幹だと理解してよさそうだ。

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