乙女ゲーってほとんどやったことなくて
―― では「はーとふる彼氏」も、いつか鳥類でゲームを作りたいと思っていて?
玻都 いえ、(エイプリルフールの)前日に思いついて。
―― 前日って。そこから作ったんですか?
玻都 「そうだ、ハトで乙女ゲーにしよう」と思いついたのが昼間で、コピー用紙1枚にキャラ設定を描いて、Webページを作り、日付が変わるギリギリで公開したという感じです。その後、どうせならFlashでノベルゲーのサンプルもつくっちゃおうと……。
―― それで作り終えたのは?
玻都 半日ですね。
―― めちゃくちゃ早いですけど、全部1人で作られたんですよね?
玻都 はい。たぶん、わたしがヒマ人だったってことなんじゃないでしょうか。
―― 発表したとき、ここまで話題になると思ってました?
玻都 まったく思ってなかったです。あまりアクセスが多すぎて、サーバーも落ちました。エイプリルフールのときも落ちましたが、Windows版を公開したときも落ちました。
―― またずいぶん落ちましたね。
玻都 「もうハトは見飽きただろ」と思ってたのに……。
―― ハトそのものというより、“キャラクターはハトだけど、いかにも乙女ゲーっぽい”というパロディがウケていたような感じがあります。
玻都 あ、でも実はわたし、乙女ゲーってほとんどやったことがなくて……。
―― ええーっ。
玻都 あのゲーム、すべてわたしの思い込みで作ってるんです。たとえば乙女ゲーって、キャラクターボイスが先に発表されるじゃないですか。あれ、外側から見てると不思議だなーと思ってて。
―― まったく外野だったわけですね。だから目線が冷静でウケたのかもしれない。
玻都 友人が教えてくれたんですが、Webのどこかで「ハトゲーの作者は乙女ゲーについてもBLゲーについても認識がズレている」って書かれてたと。自分でも多少、そうなんだろうなーと思うところはあります。
―― でも普通、思いついても作るところまではいかないと思います。
玻都 思いついてしまったからというのはもちろんあるんですが、実際、“その先”のためにやったということもあります。以前から、ゲームを作ってみたいとは思っていたので。
―― ノベルゲームを?
玻都 はい。ビジュアルノベルは一度土台を作ってしまえば、カラーでいろんな場面を再現できるわけじゃないですか。漫画と比べても、作業に対して進められる話や、演出効果の効率がいいというか……。
―― 漫画やイラストじゃない、ネットやPCならではの作品づくりができると。発想がネットオリジンというか、なんていうかインディペンデント志向ですよね。
玻都 はい。前例のないことを成功させるのがうれしいというか……。だからわたし、まともな会社員には絶対なれないんじゃないかと思います。