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動画の勢い、“静画”にも――ニコニコ静画(電子書籍)の狙い

2011年11月08日 14時30分更新

文● まつもとあつし

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「正直、甘く考えていました」

 そんな「ニコニコ静画(電子書籍)」だが、制作にはかなりの力を注いだという。伴氏は制作の難しさに関して、「正直、甘く考えていました」と苦笑する。

 電子書籍の形式はBOOK☆WALKERとも違う独自形式。文中にコメントを入れることなどを考えると、独自形式の方が良い。その判断のもと、一からビューアーを作り込んだ。

 たとえば、いくつかのビューアーで問題となった「倍角ダッシュ(――)」「3点リーダー(……)」「ルビ」「禁則・字送り」などの読みやすさに関わるいわば「鬼門」とも言えるポイントも高いレベルでクリアしている。紙の書籍のような読みやすさにこだわり、組版をPC/iPad/iPhoneできちんと再現するように、独自APIまで構築することになった。

 そこには角川グループとの協力体制が活かされている。編集部でデータの作り方が違う。見栄えで要求されるポイントが違う。そういったノウハウの共有があり、各編集部からフィードバックを受けられたことが、ビューアーの完成度の高さにつながっている。実際、アプリの動作は非常にスムーズで、出版社が制作したアプリのように見える。

 現在、サービス自体には電子書籍を購入するストア機能はなく、あくまで“コメント機能がある電子書籍ビューアー”に特化している。まずはビューアーとしての完成度に注力したニコニコ静画(電子書籍)だが、今後はニコニコポイントでの決済を可能にするなどの機能も持たせたいと伴氏は付け加えた。

 「電子書籍のプラットフォームの選択肢はかなり増えましたが、ニコニコ動画や生放送で培ってきた『感情を共有する』という独特の文化については、私たちに一日の長があるはずです。まずは角川さんと組んでスタートを切りましたが、あらゆる電子書籍を『ニコニコする』状態にもっていきたいと考えています。ぜひご関心ある出版社さんにはお声がけいただきたいですね」

 今後、サービスにはBOOK☆WALKERで購入した書籍だけではなく、ニコニコ静画で配信されている漫画タイプの電子書籍も追加できるようにするという。ニコニコ静画では現在、集英社などから提供された漫画を配信している状態だ。角川ニコニコエースのような仕組みは、これから他社コンテンツにも拡がっていくのだろう。

「角川ニコニコエースを皮切りに、今後は他社コンテンツも増やしていきたい」という

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