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動画の勢い、“静画”にも――ニコニコ静画(電子書籍)の狙い

2011年11月08日 14時30分更新

文● まつもとあつし

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コメントで共有してほしいのは「感情」と「議論」

 伴氏が語るように、ニコニコ静画(電子書籍)では、ニコニコならではの“コメント”もこだわっている。

 ページにユーザーコメントが入っている場合、画面左下に小さく「コメントあり」を示すアイコンが表示される。画面を長押しすると、その間だけコメントが流れる仕組みだ。常に流れつづけているわけではないので、読書の邪魔になることはない。

 コメントの入力もとてもシンプルで、ニコニコ動画と同じようにほぼリアルタイムに投稿したコメントが流れはじめる。表示のロジックはニコニコ動画に準拠しており、いわゆる“弾幕”も再現可能だ。

iPad版でのコメント入力画面

コメントはニコニコ動画のように流れる。1投稿あたり75文字のコメントが入力可能。いわゆる“弾幕”も再現できる

 ニコニコ静画(電子書籍)の特徴は、本文の特定部分にコメントできる「範囲指定」モードだ。

 投稿したコメントは、その箇所から引き出し線がひかれ、本文の外側(上下)に表示される。編集者が校正をするような雰囲気で、ニコニコ動画のコメントとはまた雰囲気が異なっておもしろい。伴氏は「通常」「範囲指定」2種類のコメントについて、「感情」「議論」という2通りの使い方を想定しているという。

範囲指定コメント。「註」のような形でコメントが付けられる

 「ニコニコ動画同様に、本の上を流れるコメントは、感情の投稿、いわば脊髄反射的に投稿して、場の空気を共有するという使われ方をイメージしています。一方、指定箇所に固定されるコメントを投稿するものは、もうちょっとロジカル、深い議論にも通じるような内容が投稿されることを想定しているんです。いわゆるソーシャルリーディングにも通じるもの、とも言えるでしょう」(伴氏)

 ソーシャルといえば、コメントはTwitterでも共有できる。「書籍名と引用箇所」のURLがツイートされ、リンクからニコニコ静画(電子書籍)にジャンプする。コメントは本の「帯」のような形で表示され、作品を購入(追加)済みなら該当ページが開くしくみだ。

ツイートすると、コメントが帯のように表示される ※画面は開発中のイメージ

 後者は映像と異なり、じっくりと考えて読む、本ならではの投稿の仕組みだ。先ほどの「帯」画面には、このコメントも羅列されるので、本に対してどんな批評が加えられているか、視覚的にも把握しやすくなるという。

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