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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第76回

「けいおん!」「ボカロ」なぜコンビニに――ローソンの“本気”

2011年11月05日 12時00分更新

文● 四本淑三

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規制する方向じゃなくて、ネットの波に乗っていかなければ

―― ただ、CGMはコントロールが効きにくいので、それが企業に必ずしもプラスに働くとは限らない。ローソンくらいの大手なら、そこで起こるリスクを考えて躊躇してしまうと思うんですが。

白井 Web媒体は先行優位性が重要ですので、今まで誰もやっていなければやってみようかと。何でもチャレンジしてみようというのがローソンの文化でもあるので。実はですね、すごくインパクトのあるあきこちゃんの顔もあるんです。もともとPixivで顔を募集したときに寄せられた作品なんですけど。でも、それがあったからこそ、ネットで知られるようになったんですね。それでローソンとしては話題賞ということにしたんですよ。

 ネットでやるからには、規制する方向じゃなくて、みなさんのご意見を取り入れながらネットの波に乗っていかなければならないだろうと思うんです。

話題賞 : 姉崎ダイナミック氏によるローソンクルーあきこちゃんの派生キャラ「ローソンクルーアキコ」のこと。迫力がものすごい

「ローソンクルーアキコ」(Pixiv)

―― さすがです。企業としてソーシャルメディアはどのような位置づけなんですか?

白井 この1年にいろんなソーシャルメディアに公式アカウントを開設したのですが、出した数だけローソンのサイトに流入が増える。それでローソンの情報が伝播しやすい環境になっているんですね。でもバナーという形で買わなければならなかった広告を、自社のソーシャルメディアの拠点から広げていける。広告媒体を使わずに企業PRができるようになってきたなと思います。

―― 広告媒体としてのネットの試運転という意味合いもあると思うんですが、テレビと比べてどう評価されていますか?

白井 テレビはすごいメディアだと思いますし、セグメントすれば特に効果的だと思います。オールターゲットというと難しくはありますが、女性の来店を増やそうというところなら、昼間の時間帯にスポットを流すと、それはそれで響く。響く枠とそうではない枠があると思います。

―― するとニコニコ動画というのはテレビの枠の一つみたいなものですか?

白井 ああ、確かにそうですね。テレビの昼間のワイドショーが「F3」(50歳以上の女性)の方に響くように、ニコ動はサラリーマンの方や、10~20代の男性に響く媒体だと思います。

―― これ以降もこの路線のキャンペーンは続くんですよね?

白井 ヤマハさんの企画で、ボーカロイドでスタンプラリーやるんです。ローソンも各地区1店舗づつ協力するんですけど、そのエリアの支店長はボーカロイド知らないんですね。「初音ミクって知っていますか?」「なんだそれは?」みたいな。

―― それは説明が大変じゃないですか?

白井 でもメールでやりとりしていると、どこの支社にもボーカロイドを解説してくれる人が現れるんです。「VOCALOID 3では蒼姫ラピスちゃんが」っていうようなレポートがどーっと流れてきて、「何とか支店の何とかさんによればこういう情報が流れています。だから非常に人気だと思われるため、当支社としても協力したいと思います」みたいな。

―― ははは、エヴァンジェリストがローソンの各支社にいるわけですね。ところで、あきこロイドちゃんはVOCALOID 3として発売されないんですか?

白井 音源として発売するかは、未定です。

―― そうですか、それは残念! 今後のキャンペーンも楽しみにしています。

 スタンプラリーは「VOCALOID 3発売記念 日本ジャック計画」の一貫として行なわれるそうだ。賞品はオリジナルキャラクターカード、特製クリアファイルのほか、VOCALOID 3ソフトなど。応募受付は11月27日までだ。詳しくは公式サイトをチェック!



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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