モダンブラウザーの普及が進み
HTML5を用いたウェブサービスは実用のステージへ
Chromeの解説をしたのは、シニアプロダクトマネージャの及川卓也氏。まずはグーグルのChromeに限らず、HTML5を始めとする新しい仕様に対応したモダンブラウザーの普及率が世界で67.27%、日本で60.83%にまで達したことを紹介。
HTML5で盛り込まれた3Dグラフィックや音声認識といった仕様を用いたWebアプリが、単なるデモとして紹介されるのではなく、しっかり実用として使える(提供できる)普及期に入り始めているという認識を示した。
HTML5での新要素としては「Web Audio API」を一例として紹介した。Web Audio APIでは、単純に音を鳴らしたり、リアルタイムに生成するだけでなく、エフェクトを施したり、クライアント間でタイミングを合わせた再生なども可能になる。
「Plink」というWebサービスのデモでは、マウスを操作するだけで、音色やエフェクトを切り替えて、同じサイトに接続しているユーザー同士でセッションが可能になる様子が見られた。
Chrome上のWebアプリについては、すでに「Chrome ウェブストア」を展開している。Chromeウェブストアはアプリの代金のうち、グーグルの取り分である手数料はわずか5%、さらにアプリ内課金も可能であるなど、2億人のChromeユーザーへの窓口として最適であることを説明した。
これからの時代の開発者に必要な3つのポイント
このほか、PythonやJavaで簡単にウェブアプリケーションが作れる「App Engine」、8月に一般登録もスタートした「Google+」(一般公開以降、3週間で4000万人のユーザー登録、そして50億回以上の+1ボタンが押されているという)の紹介と続いたが、最後に登壇した製品開発本部長の徳生健太郎氏が、開発者にとって3つの重要なポイントを紹介した。
その3点とは「なにごともエンジニアありき」「百聞は一デモに如かず」「日本で「イケる!」と思ったら、世界のみんなも同感するかも」というもの。
まず1番目の「なにごともエンジニアありき」では、サービスをどこまで作り込めるのかを直感的に理解しているのはエンジニアであり、企画の段階からエンジニアが参画していないと、プロジェクトの実現性が低くなると見る。日本のIT業界にはこのことが浸透していないのではないか、そういう文化を皆さんに作っていってほしいとする。
2番目の「百聞は一デモに如かず」ではGoogleマップの新機能を日本で開発した際の事例を紹介した。
当初のGoogleマップの飲食店検索では、店舗はヒットしても、写真などのビジュアルが表示されず、ユーザーにとって魅力に欠けたサービスだった。そこでビジュアルの表示を検討するも、どこから写真などのデータを調達するか議論を繰り返したという。
しかし1人のエンジニアが、クロールベースで取得した写真からスパムを弾き、店舗ごとに自動表示するシステムを1週間ほどで作ってきた結果、それまでの議論が吹き飛んでしまった。「何か動くデモを作る。これが次の積極的なシームに進むために必要なこと」とする。
3つ目の「日本で「イケる!」と思ったら、世界のみんなも同感するかも」では、上述のGoogleマップの新機能が世界で提供されることになった例を挙げ「日本に住んでいても世界に発信できることはたくさんあるはず」と、改めて日本の開発者の活躍に期待していることを語った。