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広がるテキストマイニングの可能性

2013年11月05日 11時00分更新

文●環

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 ブログやSNSなど、個人による情報発信の影響度が高まるにつれ、テキストマイニングに対する期待が高まっています。

 テキストマイニングとは、さまざまな統計解析手法を使って大量のデータを機械的に分析し、データの関係性や意味を見つけ出す「データマイニング」の1つ。テキストデータを単語や文節といった小さな単位に分割し、それらの出現頻度や相関関係などを解析することで、隠れた課題やチャンスを発見する技術です。

テキストマイニングの可能性

 テキストマイニングを使えば人力では不可能な大量のテキストデータを分析できるので、テキストマイニングは従来から大企業などで活用されてきました。たとえば、アンケートの自由回答やサポートセンターへの問い合わせ内容など、膨大な非定型データから単語同士の関連付けを解析し、製品やサービスの課題を発見する、といった使い方です。

 テキストマイニングの手法をWebに応用しようという取り組みも古くからあり、Googleなどのロボット型検索エンジンがその代表例と言えます。最近では、ECサイトなどで導入されているレコメンデーションサービスでもテキストマイニングは利用されており、ユーザーが入力したテキストからより希望に近いサービスを紹介し、満足度や購買金額を上げる効果が期待されています。

 コンテンツマッチやインタレストマッチのような分野での応用も期待されています。たとえば、ナイフメーカーの広告が、ナイフを使った犯罪を報じたニュースサイトに表示されるようなケースです。単なるキーワードマッチではなく、ポジティブな意味なのかネガティブな意味なのかを文脈から判断できれば、より精度の高い広告を表示できるでしょう。

監視サービスでの実用が進んでいる

 現在、Webマーケティングにおいてテキストマイニングがもっとも実用的に運用されているのが、ソーシャルメディアを対象とした監視サービスです。

 SNSやミニブログなどの普及によって、ユーザー間の交流が活発化していますが、中には非合法な行為や未成年者には不適切な内容の書き込みも増えています。これらの行為を監視するサービスは、従来は人力による目視監視が中心でしたが、最近ではテキストマイニングを活用した機械的な監視サービスが普及しつつあります。

 ソーシャルメディアの普及により、Web上のテキストデータは増える一方です。アクセス解析などの定型データでは分からない課題を発見し、より低コストで大量の書き込みをできるテキストマイニングは、今後重要度を増していくことでしょう。

著者:株式会社 環

Web解析を軸に2000年創業。「誰もがチャンスをつかめる社会を創る」を理念に地方中小企業に対しアクセス解析ツール「シビラ」とWeb解析コンサルティング、Webサイトの改善やリスティングの最適化を提案している。楽天ビジネスアワードを4回受賞。JWDAウェブ解析&リサーチ委員会委員長。最近は「JWDAウェブ解析士」の運営支援も行なっている。現在Web解析に関心がある人材を募集中!

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