起動は数秒
「マルチベイ」でバッテリー駆動時間も長く
SH76に関してむしろ重要だと思うのは、起動時間とバッテリー駆動時間を含めた「日常的な使い勝手」の部分だ。
富士通の今秋モデルでは、テレビCMなどで「起動の速さ」を強くアピールしている。SH76も起動を高速化する「クイックスタート」に対応しており、しかも標準で搭載するストレージはSSDだ。
実際、起動は確かに速い。ばらつきはあるが、電源オフから利用可能になるまで、実測で7秒から9秒といったところ。メモリー上へのスリープよりはもちろん長いが、休止状態からの復帰と比較した場合、そう極端な差があるわけではない。筆者は「作業中断前の状態に戻る」ことを重視するのでスリープを多用するが、人によってはそうでない場合もあるだろう。これだけ起動が速くなれば、なにがなんでもスリープにしなければいけない理由はなくなる。むしろ日常的には電源を「入れる」時よりも、電源を「切る」時のスピードの速さの方が、快適さには寄与するかもしれない。こちらも実測ではばらつきがあったが、短い時は2秒程度で電源がオフになった。
バッテリー駆動時間は、カタログ上は最大約13.7時間(JEITA 1.0測定法による)となっている。だが、バッテリーベンチマークテスト「BBench」で実測してみた値によると、そこまで長くはない。最長でも6時間弱、パフォーマンス重視の設定だと4時間弱というところだ。
BBenchによるバッテリー駆動時間テスト | |
---|---|
高パフォーマンス設定 | 省電力設定 |
約3時間50分 | 約5時間53分 |
この乖離は、JEITA 1.0測定法の誤差だけでなく、モバイル・マルチベイに光学ドライブをつけたままであるか、そうでないかといった点も考慮したい。テストでは「光学ドライブをもった製品である」ことを重視して、あえてドライブは外さずに行なった(省電力設定ではドライブへの電源供給はオフ)。計測の方法によってはもう少し伸びるのかもしれないが、カタログ値に比べると少し物足りないとは思う。
だが、無線LANで通信をしながら実働環境に近い使い方で6時間というのは、悪い結果ではない。日中、移動先で途切れ途切れに使うなら、このくらいの長さでもそう不満は出ないだろう。なにより、SH76はモバイル・マルチベイを搭載している。光学ドライブを取り外して、そこに別売の増設用バッテリーを搭載すると、カタログ値では最長約18.2時間の動作が可能となる。
今回は増設用バッテリーのテストはできなかったが、仮に同じ比率でバッテリーを消費したと考えると、最長で約9時間程度の実働時間になるだろうか。マルチベイに内蔵する形だと、重量は増えるもののサイズは変わらないので、デザイン面ではプラスに働く。
ちなみに、同社のウェブ直販サービス「富士通WEB MART」モデルの場合、モバイル・マルチベイに搭載する光学ドライブとしてはBDドライブも選択できる。
また変わり種のオプションとして、別売で「モバイルプロジェクターユニット」も用意されている(関連記事)。名前のとおり、小型プロジェクターを内蔵してしまうもので、これこそ他にないものだ。ただし実用性は少々疑問で、わざわざこのオプションのためにSH76を選ぶ、というほどの魅力はない。
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