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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第87回

日本語化したLinkedInをキャリアアップに役立てる技

2011年10月25日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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同僚や上司、友人に推薦を書いてもらう

 プロフィールをある程度書いたら、コンタクトを追加してみよう。コンタクトとは、Facebookの「友だち」やmixiの「マイミク」のようなもの。コンタクトがつながれば、お互いにコミュニケーションが取れるようになる。まずは、同僚や上司、同級生などの友人達を追加していこう。既に登録されているユーザーを一覧表示したり、ウェブメールのアドレス帳などを読み込み、既存ユーザーを抽出したりできる。

 ただし、他のSNSのように片っ端からコンタクト申請をしないほうがいい。LinkedInは転職SNSのようなとらえられ方をすることもあり、企業によってはいい顔をされない可能性がある。その辺は企業風土の空気を読もう。この場合、コンタクトを追加しないのはもちろん、企業名を正直に書いてしまうのもリスクが伴う。まだ本気で転職する気がないのに、上司に見放されてしまっては面倒なので、隠すところは隠せばいいだろう。また、完全にプライベートでつきあっている友人はFacebookやmixiでのつながりまでにしておくといい。あまり気軽な書き込みをされると、ビジネスの雰囲気でなくなってしまう可能性があるためだ。

 面倒なのは、だったらコンタクトはゼロにするといったことができないこと。誰ともつながっていない人のプロフィールは信頼性に乏しく、ビジネスの依頼が来る可能性が著しく低いためだ。

 コンタクトのリクエストを送信し、相手が承諾してくれるとコンタクトに追加される。すると、お互いの詳細なプロフィールを閲覧できるようになる。なお、Premium会員の場合はコンタクトを追加しなくても、詳細なプロフィールを閲覧できる。ビジネス相手を探す際には重宝する機能だ。

 逆に知人からコンタクトのリクエストが来たら承認しよう。ほとんど面識がないなど、つながりたくないなら無視するかやんわりと断ればいい。何か言われたら、「LinkedInは新しいネットワークを構築しようと試行中です。従来通りメールで連絡を取りあいましょう!」などと答えておこう。

 また、何のつながりもない海外のユーザーからひっきりなしにコンタクト依頼が来るのに驚くかもしれない。これは、LION(LinkedIn Open Networker)もしくはスーパーネットワーカーと呼ばれる人たちが無作為に依頼を出しているため。数万人とつながっている人で、それはそれで活用法があるのだが、一般ユーザーは無視した方がコンタクトが混乱せずに済む。

所属している学校や企業でユーザーを抽出し、一気にコンタクトを追加することができる

「コンタクト」でつながっているユーザーの一覧を確認できる

 LinkedInのプロフィールには、「推薦」という項目がある。ほかのユーザーに、自分を紹介する文章を書いてもらうのだ。推薦文があれば、キャリアの信頼性はぐっと高まるし、人となりもある程度わかる。前職の上司が褒めているなら、企業の好感度も高まることだろう。コンタクトでつながっているユーザーの推薦は自由に書き込めるが、LinkedInを始めたばかりだと自分から依頼した方が早い。詳細なキャリアサマリーと内容のあるいくつかの推薦がLinkedIn最大の武器になるので覚えておこう。

プロフィールの「推薦を依頼」をクリックし、依頼相手などを入力する

依頼メッセージが届く

 推薦文を書いてもらったら、お礼に推薦を書き込もう。その際、ウケを取ったり、個人的な情報をばらす必要はない。プロジェクトを管理する能力が高いとか、部下からの信頼を集めていたといったビジネス的な内容にすること。問題は、推薦の依頼が来た時。関係性が薄かったり、微妙に推薦したくない人からの依頼でも、日本人はたいした手間ではないと、推薦文を書いてしまいがち。しかし、その推薦文を見て、仕事を依頼する人が出てくるかもしれない。そこでその人が不義理をして、とばっちりを受けるのは馬鹿らしいので、適当に推薦文を書くのはお勧めできない。きっぱり断るか、当たり障りのない短い推薦文にするといいだろう。

ビジネスチャンスを得るために

 スゴイ経歴を持っている人には、当然のことながらヘッドハンティングからばんばんコンタクトがある。UIが英語のときからのユーザーがLinkedInの話をする場合、GoogleやMicrosoftからヘッドハンティングの誘いが来たと自慢するのが枕詞になっている。しがないフリーランスとしては、はぁ、というしかない。

 一方、これから頑張ろうとしている若い人たちは、職歴やキャリアサマリーがあまり充実した内容にならない。そんなときは、できることやチャレンジしたいことをしっかり書いたうえ、LinkedIn内で積極的にコミュニケーションを図っていこう。LinkedInには「グループ」というコミュニティー機能があり、その中で活発に発言していれば、知り合いも増えてくる。そうなれば、いつかビジネスが発生した時に、依頼先の候補として検討してくれる可能性はある。

「グループ」の条件で「日本語」を指定すると488件のグループが見つかる。興味のあるグループに参加してみよう

 求人を行なっている企業に応募する手もある。「求人」タブから検索してみよう。IT系を中心に大手企業も募集をかけている。とはいえ、LinkedIn経由だからといってハードルが低いわけでもなく、応募して雇用される人は、普通に応募しても雇用されることだろう。

求人をチェックする

 今のところ、そこまでビジネスチャンスに巡り会う可能性が高いわけではない。しかし、不景気が加速し、より安く、より早く仕事を仕上げられる人を見つけるために、LinkedInが活用される可能性はある。新規プロジェクトをサポートするために、マネージャー経験者を1年間だけ契約したり、業界大手に務めた経験のある人に講演を行なってもらうといったことが可能だ。まだ仕事をしたことがない若者が、イラストレーターとして登録し、ウェブで様々な作品を公開していれば、プロフィール次第で出版社から依頼があるかも。どこから、新しい人生のきっかけが起きるかは誰にもわからない。そのときのために、LinkedInのプロフィールを充実させて、網を張っておいてはどうだろうか。

スマートフォン向けアプリも公開されている。画面はiPhone


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「ポケット百科 GoodReader 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)。


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