システム化の目的は、人間が手動で行なっていた作業をコンピューターを使って自動化することにあります。適切なシステムを企画できれば、業務の効率化を図り、人間によるミスを防げるようになります。
コンピューターシステムのうち、Webブラウザー上で利用するものを特に「Webシステム」と呼びます。具体的には、CMS(Content Management System)を用いてWebサイトの「お知らせ」ページを自動更新したり、予約システムを使って宿泊施設のサイトで空室の確認から予約受付までを自動化したりといったことが挙げられます。
Webディレクターがシステムの企画に携わる場合には大きく2つのパターンがあります。1つは、クライアントから「システムで業務を自動化したい」との具体的なオーダーがある場合。もう1つは、Webサイト制作を受注・制作する中でサイトと連動した部分的なシステム化が必要になる場合です。自社だけでは完結できない高度なWebシステムの場合は、Webディレクターが適切なシステム会社を選定し、開発を発注するケースもあります。
システム企画の概要と一般的な流れ
Webシステムを企画するときは、最初に、クライアントから現状の課題やシステム化で実現したいことを聞き取ります。クライアントの要望が明確でない場合は、Webサイトの制作や運用を進める中でシステム化した方がよい部分を提案します。よりよい企画を提案するためには、同業他社の事例も参考にしながら、システム化による効果が高い業務範囲を洗い出し、判断することが重要です。
次に、提案予定の企画が実際に実現可能かをSEやプログラマーに確認した後で、「現状の課題」「実現したいこと」「解決方法」「画面イメージ」「開発スケジュール」などを企画書にまとめて提案します。クライアントが希望している内容とズレがないことを確認したら、見積書を提出します。
自動化を考える上での判断ポイント
システムによる自動化を検討する際には、自動化する業務範囲の見極めがポイントになります。まずは「お知らせの見出しをトップに表示させる」など、業務フローがルーチン化されているかどうかを判断しましょう。次に、「宿泊施設のオンライン予約時の金額を週末だけ変更する」など、例外的な処理が想定できる範囲かどうかを考えます。最後に、システム化するにあたって、個人情報などを守るために十分なセキュリティを確保できるかどうかを検討して、適切な範囲を絞り込んでいくとよいでしょう。
著者:水野良昭
JWDA(一般社団法人日本ウェブデザイナーズ協会)理事。1968年東京都生まれ。商社7年勤務後、シリコンバレーに渡米。帰国後、自治体WEBサイトを構築。その後ISPにてグループウェアASP商品化。第13回 KSPベンチャー・ビジネススクール 準優秀賞受賞。同ビジネスプランにて、オンラインデスクトップ株式会社を設立。