うぉー! なんちゅー加速っ!
でも一切排ガスなし!
さすがに人気のRoadsterだけに、TESLAジャパンからお借りできるのは商談や試乗予約などの隙間を縫って1日のみということに。ただ、コレまでの記事を見ていただけると分かるとおり、測定器を取り付けて実験したり、撮影したりと何かとやることが多いので(すんゲー車なのに手を抜くなんて俺の選択肢にはなかった)、TESLAのオーナーさんに頼み込んでさらに1日お借りして、2日に渡ったテストと撮影を行なっている。
まずは、EVのカーレースにもエントリーしたという、静岡在住のオーナー・高木氏の元へお邪魔して、そのフィーリングを確かめる。
まずは国道1号線を軽く運転してみるが、アクセルを軽く踏んでいるぶんには運転のしづらさを感じない。右ハンドル仕様のため慣れた感覚で走れるが、問題はやっぱりワイパーとウィンカーが逆ってコト(笑)。ステアリングのパワーアシストはなく、完全な「漢(オトコ)」仕様っていうのもステキだ! ステアリングは径が小さく、ゲームセンターのカーレースゲームのサイズと言えばわかりやすいか。
車両重量は1235kgで、フロントタイヤは16インチ175/45なので、ゆっくり動かしてステアリングを切っても、重さがグッと手に伝わってくるほど。なんかこう「車を操縦してる!」っていう感じがビシビシ伝わってくるのだ。
直進安定性は抜群にいいので、交差点でステアリングを切りながら加速すると、突き指しそうになるので注意。TESLAに乗るなら、まずドライビングポジションとハンドルさばきを基本に戻す必要があるだろう。
ちなみに後輪は16インチ225/45で、ほとんどホイールで走っている感じだが、サスペンションが路面の凸凹を上手く吸収してくれるので「運転していて内臓が下がった」なんてことはない。
シートは地面スレスレにあり(おそらく地上高30cm程度)、椅子に座るというより、足を投げ出してコタツに入る感じだ。なので体感速度がめちゃくちゃ速く、高速道路を運転すると時速100kmで走ってるつもりが、実は80km程度だったなんてことも……。安全運転にはもってこいなのだが、慣れるまではかなり速度計をチラ見しながら走ることになるだろう。
運転席からの視線の高さは、セダン車のバンパー上~トランク辺りなので、2台前の車の様子も見えず、かなり車間を取って運転していた。
そして何より特徴的なのは、回生ブレーキが停止直前までかなり効くという点。ATのガソリン車なら絶対ブレーキを踏むところでも、Roadsterはアクセルコントロールだけで減速できる。例えて言うなら時速60kmでアクセルから足を離すと、信号で停止するぐらいのブレーキングをしたのと同じような制動が掛かるのだ。TESLAはシフトレバーがないのでATのように運転できるが、MT車の感覚で運転する必要があるだろう。後続車のことも考え、MT車が徐々にギアダウンしてエンジンブレーキで減速するように、アクセルを徐々に緩めて減速するのが基本だ。時速10km以下で、はじめて使うフットブレーキは、油圧方式を採用しているという。「油圧発生器は床下にレイアウトしていて、常時ポンプを稼動するのではなく、時折稼動しているときにその唸りが聞こえるよ」とエンジニアの話。
加速性能はとんでもなく、青信号になってアクセルを3割も踏めば、バックミラーに小さな後続車が見えるほど。半分も踏み込んだら即オービスが記念写真を撮ってくれるか、赤い回転灯をつけた白黒のツートンカラー車に「ずいぶん急いでるみたいだね」なーんて声をかけられそうだ。
Roadsterの静寂性を語っても比較対象がないので無駄かも知れないが、独特のサウンドがコクピットには広がる。エンジン音がまったくしないのは当然だが、ブットいタイヤのロードノイズがシャーと聞こえる。また、シートの後ろ数十cmのところにインバーターがあるため、耳を澄まさないと聞こえない程度だが、インバーターがヒュイーン! と気持ちいい音を奏でる。
他のRoadsterのインプレッションではあまり見かけなかったが、センターコンソールにあるコンピュータのタッチパネル式ディスプレーで、ドライビングモードを切り替えることができる。モードは全部で3つあり、通常使うスタンダードモード、航続距離を稼ぐレンジモード、とにかくパワーを搾り出すパフォーマンスモードがある。スタートシークエンスを動画で解説したので、まずはこちらを見ていただきたい。
「通常使う」スタンダードモードではあるが、それはおそらくアメリカでインターステート・ハイウェイを気持ちよく走るセッティングだろう。航続距離とパワーのバランスを最適にして走るモードだが、日本国内なら(ロング)レンジモードでパワーを絞って走らせることをオススメしたい。なにせレンジモードで高速を走っても、まだまだアクセルに余裕があるぐらいなのだ。
パワー重視のパフォーマンスモードは、サーキット走行でもしない限り使わないだろう。また、パフォーマンスモードで走るなら、トラクションコントロールのONも忘れずに。実際にはやらなかったが、TESLAのWebサイトでパフォーマンスモードでトラクションコントロールをOFFにした映像を見たところ、225/45タイヤからケムリが上がり、余裕でパワードリフトできちゃうぐらいだ。しかもタイヤの空転がしばらく止まらないほどパワフル。
エンジンレイアウトはミッドシップ、駆動はリアとなっており、前後車軸荷重は車検証が確認できなかったので不明だが、おそらくリア側にかなり寄っていると思われる。おそらく加速性とステアリングの重さを軽減するための工夫だろう。もちろん2シーターなので、自分を中心に旋回する小気味よさは言うまでもない。
2日目にはTESLAジャパンからお借りしたRoadsterで軽井沢の山道を走ってみたが、これが気持ちいいのなんのって。普段ならコーナーはアウトから入ってインによって、再びアウトに抜けるような走りをするが、Roadsterは新幹線のように路面を正確にトレースしてくれるので、常に車をセンターに置いて走らせると面白い。
スプーンカーブでも、俺的にオーバースピード(Roadsterにとってはたぶん余裕)で入っていっても、キッチリ路面をグリップして車線をトレースしてくれる。ただしステアリングが直進しようと重くなるので、カーブのきつい峠道を長く走ると、腕力との戦いになるかも?
とにかく運転席に座れば、どんなアトラクションよりも楽しい時間を過ごせるのがTESLA Roadsterだ。しかも排ガスはゼロ、燃料代もさほどかからないって言うんだから、マジで最高に楽しめる車!
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