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痛車乗りは電気自動車の夢を見るか? 第3回

EV界のスーパーウェポン

ジェットコースターの加速! スーパーEV・TESLAを体験

2011年10月25日 12時00分更新

文● 藤山哲人 ●車両協力/TESLAジャパン、高木多佳雄氏

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センサーで調べて加速度にビックリ!

 さて、Roadsterを楽しんで運転できるようになったところで、アクセルを軽く踏んだだけで、グイグイ体が押し付けられる加速度は、いかほどなのかを測定器でチェーック! まぁ、自動車雑誌やWebじゃこんなことやらないけど、思いつたらヤラずにはいられない筆者なので、Roadsterの比較対象車がないにもかかわらず、無謀にスゴさを調べてみた。

 スペックによれば時速0kmから97kmまでの加速は3.9秒ということだが、それはあくまでアメリカの広大なテストコースでベタ踏みしてパフォーマンスモードで走った場合だ。ここでは、アクセルを徐々に踏み込んでフツーに運転する場合でかつ、日本国内を走るためのレンジモード(航続距離優先モード)の場合で調べてみた。もちろんトラクションコントロールスイッチはONにした状態だ。

 結果は、停止状態から時速60kmに達するまでたった4秒。

どひゃー! 最高は1.3Gをマーク! つまり自分の体重の1.3倍の力でシートに押し付けられるというワケだ

 加速度はなんと1.3G。しかも、グラフを見るとトラクションコントロールが効いていたようで、1~3秒までの間は0.8Gを保ち、グリップした瞬間を狙ったように3秒辺りで最大Gを叩き出している。その1秒後には時速60kmに達してしまったため、慌ててアクセルから足を離すと、今度は回生ブレーキの制動Gが急に掛かりだし、今度は-0.9Gをマーク。では、これまでガソリン車との比較に使ってきたカローラのデータと無謀にも比較してみよう(笑)。

 意味がないのは百も承知なので、クレームのメールは送ってこないようにね! ただ、カローラのグラフは-0.5G~0.6Gにしていたので、これをRoadsterに合わせて-1.0G~1.2Gに広げてみた。

えー、意味がないのはわかってたけど、本当に意味がなくてすいません……

 カローラの加速度はRoadsterの誤差って感じでファイナルアンサー。無意味すぎました。

 Roadsterの叩き出した1.3Gと-0.9Gに近いものを色々探してみたところ、1.3Gの加速度とは小さめのループコースターでカタパルトから発射されるのとほぼ同じらしい。発射前に「お話を辞めて頭をヘッドレストに付けてください! 舌を噛みますよ」って注意されるジェットコースターね。つまりRoadsterの加速は、線路のないジェットコースターに乗っているようなモンと思っていただきたい。しかも、パワーを抑えたレンジモードで、トラクションコントロールがONになっていることもお忘れなく。

 他にもRoadsterに近いものはないのか? と探していたら、諸説は色々あるらしいが、F1カーの発進時の加速が1.5G、エンジンブレーキをかけたときの制動が1Gという。つまり、RoadsterをパフォーマンスモードにしてトラクションコントロールをOFFにした上で、プロドライバーが乗り込めば、バックストレートから第1コーナーに突っ込んでくるのは、フェラーリやロータス、マクラーレンのF1カーじゃなく、TESLA Roadsterというワケだ。つーか、F1を持ってきてやっと加速性能を比較できるぐらいだから、市販車に比較対象車はないっしょ?

 続いて高速での時速80~100kmの加速を調べてみた。こちらも航続距離優先のレンジモードでトラクションコントロールONで調べた結果だ。

 最大加速度は、0.4Gで4.4秒で時速100kmに到達。コレもあっという間だったので、慌ててアクセルを少し戻すと、これまた-0.57Gの制動G。「EVは高速での加速が苦手」と結論付けていたこれまで2回の連載だが、「※ただしRoadsterは除く」って注釈を入れなくてはならない。無意味なのは分かったので、カローラのグラフはもう出さないが、こちらは時速100kmに達するまで8.5秒かかったことだけを書いておこう。

 このように、パワーを抑えるレンジモードですらこの結果を出すRoadsterは、まさにスーパースポーツEVと言っていいだろう。さらに付け加えたいのは、一般車のトラクションコントロールは雪道や雨、悪路を走るときに使うスイッチだが、Roadsterのそれはたとえドライな道でも安全に走るためのスイッチだ(笑)。

スゲーよ! TESLAのコクピット!

 日本でもあまり見かけないRoadsterだけに、コクピットを見た人は少ないだろう。ここではコクピットまわりを写真で紹介しよう。

もちろんキーレスエントリーのドア。ドアノブは、内側の溝に隠されている

運転席に座った視線はこんな感じだ。足がほとんど曲がっていないのが分かるだろう

シートはボディーカラーに合わせたツートンで、ランバーサポート付き。シートベルトは、3点式となっているのでさほど窮屈な感じはない

足元のペダルは、踏むというより押し込む感じになる。運転しやすいポジションを見つけるまで、すこし腰や足が痛くなるかも? いちばん左は、フットレストだがいかにも業務用(笑)って感じ

ギアはすべてボタン式で、オートマではおなじみのP、R、N、Dレンジとなっている。セレクトされているモードがグリーンで光るようになっている。奥に見えるタッチパネル式のLCDは、Roadsterの心臓部と言えるコンピューターの画面。車に関するさまざまな情報を表示したり、ワーニングメッセージで注意喚起したり、ドライブモードの切り替えができる

サイドブレーキはワイヤー式。センターコンソールにはDockコネクタが装備されているので、iPhoneなどを置ける。さすがシリコンバレーで生まれた車だ! 手前に見える「TC」はトラクションコントロールスイッチ。OFFにして走るとたぶん怖い目に合うハズ。その下の小さな2つのボタンは、シートヒーターのスイッチで強弱の切り替えが可能。スポーツカーだけにモノを置くところが少なく、車内にはみ出すサイドステップにお財布や携帯などを置いておくことになる。なお、ドリンクホルダーは、コンソール横に設置してあるということだが、エンジニアいわく「薄く作ってあるから分かりにくいかも?」というように、今回の試乗では見つけられなかった(笑)

インパネはアナログ式でシンプル。左側はスピードメーター&タコメーターだが、ギアが1段固定なので速度=モーターの回転数を示している。メーターは時速260kmまであるが、諸元によれば最大回転数が14000rpmなので200kmが上限。右側はバッテリーのタコメーター、左に入ると回生ブレーキ中で、右がパワーをかけている状態。数値はkWを示している。LCDにはバッテリー残量と航続距離、オドメーターがある

ヘッドライト周りはステアリング左下にあるダイヤル式のスイッチ。4点式シートベルトにしちゃうと、ちょっと操作しづらいかも。フォグランプやインパネの照度などもここで操作する

サイドステップにもTESLAのロゴ。その上段もステップの一部だか、ドアを閉めても上段のステップはキャビンにはみ出している

ドアとウィンドウ開閉スイッチ。この辺りはいたって普通だが、ボディーに合わせてツートンになっているのがカッコイイ

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