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痛車乗りは電気自動車の夢を見るか? 第2回

自動車らしい電気自動車

もはや普通自動車には戻れない! 軽 to EVの三菱 i-MiEV

2011年10月24日 12時00分更新

文● 藤山哲人 ●車両協力/三菱自動車

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リチウム電池はPCと同じで寿命がある!
長持ちさせるには?

 何年も使ったノートPCや携帯電話は、買ったときより電池の持ちが悪くなる。これは充電式電池の宿命で避けられないことだ。もちろんEVに搭載されているリチウムイオン電池も例外ではない。

 そこで三菱のエンジニアに、電池を長持ちさせる方法を伺った。

 まず、i-MiEVのバッテリー寿命の目安は、設計上およそ10年(保証期間は5年/10万km)ということだ。ただし充電方法や乗り方によって、寿命が左右されるという。

 リチウムイオン電池が他の充電式の電池と比べ優位とされている「メモリー効果がない」というのは、PCや携帯でもよく謳われていることだ。メモリー効果とは、たとえば「いつも80%の容量が残っているのに充電器にかけてフル充電にしてまた利用する」といったことを繰り返していると、「電池が80%の状態で電池切れになった」ということを電池が記憶(メモリー)してしまうこと。実際には、残り80%の残量があるのに、見かけ上の容量が減ってしまうので寿命と見間違えてしまうのだ。

 リチウムイオン電池は「メモリー効果がない」という認識がが広がって「携帯電話は家に帰ると毎日充電している」という人も多いはず。またノートPCは、バッテリーを接続した状態で常にACアダプタを差し込んで使っている人も多い。これらのバッテリーは、常にフル充電近くで、継ぎ足し充電を頻繁に行なっているといえる。

 しかし、リチウムイオン電池のもうひとつの特徴として、フル充電状態で放置しておくと寿命が短くなるというクセがある(とくに高温で放置すると電池によくない)。携帯電話の電池を交換したことがある人なら、窓口でこんなアドバイスを受けたことがあるはずだ。「この電池は半分ぐらいしか充電されていませんので、お早めに充電をお願いします」と。これは電池をフル充電にしてしまうと、性能が劣化してしまうので、工場出荷時に半分だけ充電して出荷しているためなのだ。

 さてEVの場合はどうだろう? 三菱のエンジニアによれば、i-MiEVの電池をより長く使うためには「フル充電近くでの継ぎ足し充電をできるだけ避けてください。長持ちをさせる場合は、バッテリー残量が半分以下になってからの充電をオススメします」ということだ。さらにこう付け加えていた「急速充電のみを繰り返し行なうと、バッテリーの寿命が短くなる場合があります。バッテリーの性能を維持するためには、1ヵ月に2回以上普通充電を行ない、満充電するといいでしょう」とアドバイスいただいた。

バッテリーは半分以下になってから充電すると長持ちする

月に2度は普通充電でバッテリーをいたわり充電してあげよう

 三菱のエンジニアに伺った話なので、i-MiEV限定に聞こえるかもしれないが、これはリチウムイオン電池で走るすべてのEVに言えることだ。いや、それだけではなくリチウムイオン電池を使う携帯やノートPCをはじめとしたさまざまな機器に言えることなので、電池との付き合い方を今一度考え直してはどうだろうか?

 また、なぜ普通乗用車ではなく軽自動車からEV化に着手したのかについても尋ねてみた。

 「電池の搭載量を増やせば航続距離は延ばせますが、現在の電池性能でガソリン車並みの航続距離を確保しようとすると、キャビンやトランクのスペースを充分に確保することが困難になります。このため、まずは一般に走行距離が短いとされる軽自動車をベースにすることとしました。当社が全国のドライバーの皆様にアンケート調査したところ、平日1日の走行距離は約90%の方が40kmだったのです。休日でも約80%が60km未満という結果も出ています。さらに、税制メリットや補助金受け取りのために必要な保有期間が4年(登録車は6年)であることも軽自動車とした理由です」

 JC08では航続距離180kmとあるが、他の車の流れに乗るように運転した感じでは、フル充電の航続距離は130kmという感じだった。しかし、実際の使われ方のアンケートを見てみると、かなり余裕のある航続距離と言えるだろう。

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