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SANストレージ「Storwize V7000」もユニファイド化

クラウド課金の敷居を下げる「IBM Starter Kit for Cloud」発表

2011年10月24日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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10月21日、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)はプライベートクラウド構築向けの製品を強化し、入門版ソフト「IBM Starter Kit for Cloud」やユニファイドストレージ「IBM Storwize V7000 Unified」などを投入した。

仮想化・自動化から運用管理の効率化へ

 発表会の冒頭、専務執行役員 システム製品事業 藪下真平氏は、まず同社が推進するSmarter Computingを「データを中心に設計され、ワークロードに最適化され、クラウドで管理されるIT基盤」と定義し、ビッグデータやクラウドへ注力する姿勢を強調した。IDCの調査を引き合いに、「ベンダー間の競争によりサーバーの新規導入コストは下がっているのが、運用管理、電力・空調のコストが馬鹿にならなくなってきている」(藪下氏)という現状を説明。これが仮想化、標準化、自動化を実現するクラウド移行の大きな要因になっていると解説した。また、調査では去年に比べて仮想化統合から運用管理の効率化へと顧客の関心が移ってきていると説明。こうした状況を受け、今回は管理ソフトウェア、ストレージなどの分野での製品群を強化するという。

日本IBM 専務執行役員 システム製品事業 藪下真平氏

Smarter Computingの概念

 続いて日本IBM システム製品事業 クラウド・ソリューション企画部長 佐々木 言氏が、プライベートクラウド導入の障壁を下げる新製品のポイントについて説明した。

日本IBM システム製品事業 クラウド・ソリューション企画部長 佐々木 言氏

プライベートクラウド導入の敷居を下げる新製品

 まず同社の管理ツールである「IBM Systems Director」の機能拡張を発表した。Systems Directorsは同社のハードウェア管理からスタートし、最近ではVMControl、Storage Control、Network Controlなどのコンポーネントが搭載され、仮想マシンやストレージ、ネットワークまで統合管理できるようになっているという。今回、VMControl v2.4ではハイパーバイザーとしてKVMをサポートし、PowerVMやVMware、Hyper-Vなどを含めたマルチハイパーバイザーの管理が実現したという。また、最新のSystems Directors v6.3は、標準構成で5000台までのシステムを管理できるようになった。

 ストレージの新製品「Storwize V7000 Unified」も発表された。Storwize V7000 UnifiedはSANストレージの「Storwize V7000」にNASの機能を追加し、ユニファイドストレージとして動作するようにしたもの。IBMや他社のストレージを接続し、単一のストレージとして扱い、SANとNASに振り分けることが可能になっている。

ユニファイドストレージとして動作するStorwize V7000 Unified

ファイルの物理的な場所に依存せずディレクトリイメージを共有するActive Cloud Engine

 また、ファイルベースの自動階層化管理ソフトウェア「Active Cloud Engine」も投入され、HDDやSSD、テープドライブなどの性質の異なるドライブなどにデータ配置を最適化し、さらに物理的に異なる拠点で同じディレクトリイメージを共有できるようになった。Active Cloud Engineは、V7000 Unifiedに加え、スケールアウトNASであるScale Out Network Attached Storage(SONAS)でも対応。ブロック単位でデータ移動は、これまで通り「Easy Tier」の機能で行なう

クラウド課金の敷居を下げる「Starter Kit for Cloud」

 今回目玉となる「Starter Kit for Cloud」は、プライベートクラウドでの仮想サーバー利用を自動化するセルフポータルや承認、簡易課金の機能を提供するソフトウェア。ユーザーから仮想サーバーの申請・承認プロセスをWebブラウザ上のポータルやメールを使って自動処理。申請やリソースの確認、仮想マシンの作成、疎通確認まで含め、2週間かかる作業を5~60分程度にまで短縮できるという。また、CPUやメモリ、ディスクなどの単価を設定することで、仮想マシンの使用状態に応じてグループに対して課金を行なえる。ユニークなのは課金方式としてプリペイドをサポートしている点で、「Webブラウザのポータルを介してユーザー部門は課金状態をリアルタイムに確認できる」(佐々木氏)。

プライベートクラウドでのセルフポータルや承認、簡易課金機能を提供するStarter Kit for Cloud

単価を設定すればリアルタイムに課金状況もわかる。プリペイド方式もサポート

 低廉な価格で投入されるのも大きなメリット。管理サーバー、ブレードサーバーなどの3台のハードウェアに仮想化環境込みで約750万円(税別)を謳っている。

 Stater Kit for Cloudの課金は最低限の機能で、多段階の承認やパブリッククラウドや外部ディレクトリの連携など、より高度な機能を使いたい場合は、CloudBurstやTivoliの製品群を使うことになる。

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