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週刊 PC&周辺機器レビュー 第120回

メディアサーバー機能重視の高速家庭向けNAS HDL2-A

2011年10月21日 12時00分更新

文● 池田圭一

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 本体背面のUSBポートは、カメラやUSBメモリー内のデータを撮影日順に自動バックアップする「デジカメコピー」や、カメラ等の全データを差分バックアップする「クイックコピー」、共有HDDとしてネットワークに公開する「共有モード」、USBプリンターやカメラを共有可能な「net.USB」といった使い分けが可能だ。また、USB HDDと内蔵HDDの任意のフォルダを相互方向にスケジューリングバックアップが可能なバックアップ機能もある。

本体背面のUSBポートの機能を設定。接続デバイス内のデータをHDL2-A側に自動的に吸い出すデジカメコピー/クイックコピーがなかなか便利

USB接続の外付けHDDとの間で相互にバックアップが可能なバックアップ機能。RAID0での運用時には、データ保全のためにも積極的に利用したい

 また、DTCP-IPにも対応するため、一部の録画機能付きテレビから録画番組のムーブ・ダビングが可能である。また、デジタルテレビチューナーの外付け録画HDDとしても使える。さらに、任意のイベントでメールを送信する機能や、UPSとの連携機能もあり、およそ家庭内メディアサーバーで必要と思われる機能を備えている。

自慢の速さの実力を徹底チェック

 今回試用したのは、総容量2TBの「HDL2-A2.0」。1TBのHDDを2台内蔵する製品だ。そのほかに、容量4TBの「同A4.0」、容量6TBの「同A6.0」をラインアップする。同社が公表している読み出し速度は、RAID0で約100MB/秒以上、RAID1で約74MB/秒という。この速度がどのモデルでの計測かは不明だが、実環境ではどのくらいの速度が出るだろうか?

 RAID0とRAID1のそれぞれで、ファイル容量(10MB~1GB)やホストパソコン(いずれも1000BASE-T対応のWindowsパソコン)やOSを変えて実験してみた。その結果、読み書きともにかなりばらついた値となっている。おおよその値は以下のとおり。

RAID0時 HDL2-Aからの読み出し 33~76MB/秒
HDL2-Aへの書き込み 33~61MB/秒
RAID1時 HDL2-Aからの読み出し 12~55MB/秒
HDL2-Aへの書き込み 10~48MB/秒

 RAID1時に特に遅くなったが、その際はパソコン側からの操作に関係なく、HDL2-A2.0からHDDアクセス音が聞こえていた。モード変換後しばらくしてから自動実行されるHDDの同期(再構成)処理のため、ファイルの書き込み/読み込みともに負荷がかかっていたと思われる。なお、HDDベンチマークテスト「FILE DEVICE BENCHMARK 1.03」での計測では、RAID1時の書き込み速度が約25MB/秒となった。

 同社の公表値と比べると、ベンチマークテストの結果では半分程度しか出ていないことになってしまうが、計測結果のほとんどはばらついた値の上限側(高速側)であり、同社の従来製品(HDL2-S)の読み込み時最高速度(約25MB/秒)の、2倍以上は速いことになる。

 ホストパソコンやOSのファイルシステムの影響をなるべく受けないように、HDL2-A2.0のFTPサーバー機能での読み出し速度を計測してみた。RAID0状態で、サービスの負荷を減らすために共有フォルダーをひとつだけにして、FTPサーバーのみを動かした。ホストパソコンでは、コマンドラインからFTPクライアントを起動して容量100MB~1GBの数種類のファイルを読み込み、受け側ではnul出力にしてパソコン側のHDDやメモリーの速度が影響しないようにした。その結果は、読み込みで92~95MB/秒と、同社の公表値と近い数値となった。

 HDL2-Aは簡便な操作と豊富なサービスを備えた高速NASである。とはいっても、家庭内LAN(最低でもHDL2-Aとパソコン間の接続)がGigabit Ethernetでなければ、速度面のメリットは発揮できない。HDL2-Aの導入を検討するなら、LANのGigabit化も同時に行なうくらいの方がいい。それ以外のLAN環境では、DTCP-IP対応や操作に対するレスポンスの速さなどに魅力を感じるか否かがポイントとなるだろう。

ウェブブラウザーでアクセスできる「コンテンツ操作」画面により、パソコンで共有フォルダーを覗かなくても、スマートフォンなどからDLNAコンテンツの操作が可能

HDL2-A2.0 の主な仕様
CPU Marvel ARMADA 300
ストレージ HDD 2TB(1TB×2)
インターフェース 10/100/1000BASE-T LAN、USB 2.0×2
サイズ 幅90×奥行き135×高さ176mm
質量 約2.2kg
直販価格 3万1700円

筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・ウェブ媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。


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