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やばい電脳コイルだー!NECのメガネデバイス「テレスカウター」

2011年10月17日 21時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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 17日、NECが業務用ウェアラブルコンピューター「テレスカウター」を発売した。業務用ながらクラウドとスマートデバイスの未来が見えるような面白いデバイスだ。最初に思い浮かんだのはメガネデバイスを使ったアニメ「電脳コイル」だが、次に思い出したのは、まさにこんな思考実験をしていた「serial experiments lain」だった(オタクですいません)。

 製品は、メガネのようなデバイス「ヘッドマウントディスプレイ」(HMD)と、トランシーバーのような小型コンピューター(クライアント)をセットにしたもの。出荷開始は12月26日で、本体価格は40万円から。ディスプレーには、ブラザー工業が8月に発表した「AIRScouter」(エアスカウター)が使われている。1メートル先に16型(800×600ドット)の画面が見えているようなイメージで、12ポイントの小さな文字までくっきり読める。

 ヘッドマウントディスプレイというと3Dに対応したソニー「HMZ-T1」が話題だが、テレスカウターもなかなか刺激的だ。

HMDは幅35mm×奥行き75mm×高さ40mm、重量は約64g。潜水艦についた潜望鏡のように、ディスプレイの画像を鏡にあてて屈折させ、ガラス部分に投影する“シースルータイプ”を採用

クライアントはトランシーバーのような小型サイズ。これを腰につけて通信しながら使用する

 NECが開発したのは、テレスカウターのクライアントと、離れたところにあるサーバーをつなげる遠隔業務支援システムだ。サーバー側から装着者の目元に映像を送れるため、装着者は映像を見ながら仕事ができる。一方のサーバー側はヘッドマウントディスプレイのカメラに映った映像が見られる。システム利用費は199万円からだ。現在は業務用なので「保守点検」「組み立て作業」などカッチリした使い方が提案されているが、将来的にはこれをマルチメディアデバイスにしていきたいとも考えている。

 このデバイス、“サーバーにアクセスして、返ってきたデータを見る”のが面白い。

 テレスカウターのクライアントはCPUにARM(500MHz)を積んだ、言ってみればPDAのようなモバイル端末。Web上のデータやアプリなどにアクセスできる。NECはクラウドサービスを使った未来のアイデアを提案している。たとえばテレスカウターのカメラで誰かの顔を見る。テレスカウターはWeb上のアプリにアクセスし、カメラに映った“顔”を認識する。サーバーのデータベースと照合し、登録された名刺のような個人情報を表示する。

サーバー側は、テレスカウターから送られてくる映像を見ながら装着者に指示を出す。たとえば装着者が見ている映像をキャプチャーし、赤いマルをつけるなど“指示”を入れて、装着者に画像として送り返したりできる

テレスカウターをつけて誰かの顔を見ると、Webアプリで顔を画像として認証し、名前や趣味、血液型などの情報を呼び出せる(こちらは将来的なイメージ)

 もうちょっと過激に言おう。

 誰かがFacebookとTwitterを使っていて、Picasaなどの写真共有サービスで、顔写真に名前のタグがつけられていたとする。そこで顔認識アプリを使えば、「メガネをかけて顔を見るだけで、最近どんなことを考えて(ツイートして)いるか」が分かるかもしれない。さらに同じアカウントに紐つけてAmazonやらYouTubeやらブックマークサービスを使っていたとすれば、「最近どんなものを見たり聴いたり読んだり買ったりしているか」も分かるだろう。

 NECではAR(拡張現実)技術への対応も視野に入れている。AR技術は現在、マーカーではなく“物体そのもの”を認識できるレベルになっている。見たものがただちにサーバー上で認識され、iPhoneアプリ「セカイカメラ」のように、CGをパッパッと“現実”に重ねあわせることもできるだろう(現在のCPUではパワー不足かもしれないが)。

 クライアントのスペックは、サイズが幅90×高さ140×奥行き55mm、重量は約360グラムで、従来品の約半分ほど。バッテリー持続時間はオンライン時で約4時間。通信はIEEE 802.11a/b/gの無線LANと、Bluetooth(Ver2.0+EDR)が使える。ヘッドホン端子とマイク端子があり、サーバー側と音声通信できる。動画はWMV9、H.264の再生に対応している。

 民生用技術は業務用技術の進化で生まれるもの。まずはテレスカウターに日本の“現場”を盛り上げてもらおう。その後に来る、ちょっと怖いけど楽しそうな未来に期待したい。



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