ラグナロクに正式対応、WebGLやウェブカム対応も
さてここで、先週プレアルファ版が登場したOpera 12の新機能について紹介しよう。ヨーロッパ時間の木曜日(13日)には、アルファ版として一般にも公開される。コードネームの“ワフー”(Wahoo)は魚の名称。過去には鳥の名前を使っていたOperaだが、最近では「サンドフィッシュ」や「バラクーダ」といった、泳ぎの速い魚の名前をコードネームに利用している。
まず大きなところでは、WebGLとハードウェアアクセラレーションの機能が追加された点が挙げられる。WebGLは、Open GLなどのグラフィックスAPIを活用して、ウェブブラウザー上で3D画像を快適に表示できる技術だ。この春に登場した「Firefox 4」や「Google Chrome」の最新版に続き、Opera 12でも対応が進められている。テレビやAndroidスマートフォン、WindowsのDirectXにも順次対応していくという。性能的にも先行するChromeなどより高速な結果が出ているとのことだ。
今年2月に発表され、バグフィックスを進めてきた新しいHTML 5パーサー「ラグナロク」も正式に導入される。これまでOperaはHTMLパーサーを開発当初から15年に渡って継続して使ってきたが、長年のパッチなどにより複雑化してきた面があった。ラグナロクは北欧神話における「終末の日」を指す、やや物騒な意味合いの単語だが、パージングの問題に関するファイナルアンサーという思いをこめて採用されている。ECMAScript5にも対応し、エンジン部分が刷新される予定だ。
またラボ開発の案件として、JavaScriptなどを活用してウェブブラウザーから簡単にウェブカムの機能を呼び出すデモも実施された。面白かったのが「A Book of Troll」と呼ばれるデモ。トロルはご存じのとおり、北欧の妖精。絵本のようにページをめくっていくと「トロルは現実にもいる」「あるものは見た目もいいが、そうでないものもいる」といった感じで話が進み、最後のページに到達すると……、現実はこんな顔をしているという感じで、何と画面にデカデカと「ウェブカムに映った自分の顔」が表示されてしまうというジョークアプリだ。
ウェブカム機能は、SNSのプロフィール画像の撮影やバーコードの読み取りなど、活躍の場は多そうだが、こうしたウィットに富んだデモを出すあたりは、いかにもOperaらしい。
UIに関しては昨今のトレンドに添う形で、ナビゲーション部分を小さく、ページ部分を広く取ったレイアウトを追求している。パワフル・シンプル・ビューティフルが狙いだそうで、ボタン類を極力省き、アドレスバーでインクリメンタルに表示される履歴・ブックマークの情報もより見やすく整理された。
またOperaの特徴のひとつである「Speed Dial」(よく使うページをホーム画面にまとめすぐに呼び出せる機能)ではスキンの追加も可能で、見た目の楽しさにもこだわれる。