富士通のPCは武士道を踏襲する?
富士通 パーソナルビジネス本部本部長の齋藤邦彰執行役員は、「富士通のPC事業が推進するベストフィットコンセプトは、日本の文化にはぐくまれた『武士道』に通じるものがある」と語る。
ベストフィットコンセプトとは、顧客のニーズにあわせてきめ細かい商品展開を行い、価格優先のコンスパフォーマンスモデルから、カスタマイズ重視のハイエンドモデルまでのフルラインアップ戦略とし、さらに、らくらくパソコンやタブレットPC、世界初の手のひら静脈認証内蔵PCなどといった付加価値型製品によって、さらにきめ細かいニーズに最適化するという富士通のPC事業の考え方である。
PCは大量生産が収益確保への近道だと言われる。機種数を絞り込み、大量生産できるモデル数を増やした方が収益へのメリットは大きい。しかし、富士通は多品種展開を推進し、しかも、そこに付加価値モデルにも引き続き力を注ぐ姿勢は変わらない。そこにベストフィットコンセプトの特徴がある。
「自らを犠牲にしてまでも、他人に高い満足度を与える。こうした武士道の考え方、滅私奉公の精神が、日本の文化であり、それが富士通のPCづくりにもつながっている」と齋藤執行役員は語る。
30年の節目、そして転機を迎える国内PC市場
富士通は今年、PCを投入してから30年目を迎えることになる。
だが、その節目の年において、PC産業は大きな転換点を迎えている。
世界最大のPCメーカーである米ヒューレット・パッカードが、PC事業の分離を検討していると発表。日本でトップシェアを誇るNECも、今年7月にはレノボグループ入りした。
また、一部調査では、スマートフォン、タブレット端末の出荷台数が、すでにPCの出荷台数を追い越しているという事実もある。
そのなかで、富士通は、PCを「ユビキタスフロントのための重要な製品」と位置づける。
「富士通は、半導体からPC、携帯電話、ネットワーク、ミドルウェア、ストレージ、サーバー、インフラサービスまでを1社で提供するフルスタック戦略を推進している。その上で、ユビキタスフロントの製品群は必要不可欠となる」(富士通 パーソナルビジネス本部本部長の齋藤邦彰執行役員)とする。
このタイミングで、あえて出雲モデル、伊達モデルは、富士通が継続的にPC事業を推進していくという姿勢を強く示したものといえる。このご当地ブランド戦略には様々な意味が込められているというわけだ。
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