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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第26回

富士通が「出雲モデル」「伊達モデル」を打ち出したこだわりとは

2011年10月11日 09時00分更新

文● 大河原克行

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出雲市長も歓迎する出雲モデルの登場

 実は、島根富士通が立地する場所は、9月30日まで島根県簸川郡斐川町だったが、10月1日付けで同町が島根県出雲市に併合されたため、住所が出雲市に変更された。

島根富士通がある斐川町は、2011年10月1日付けで出雲市に併合された(写真は出雲市役所)

 そのため、出雲モデルという名称を利用できるようになった点が背景にある。

2011年9月22日に島根富士通で行われた出雲モデル初号機生産の記念セレモニー

 出雲市の長岡秀人市長は、「昨年から富士通に『出雲』というブランドを活用してほしいとお願いしてきた経緯がある」と逸話を披露。「出雲は、全国的にも高い知名度を誇る。10月1日の斐川町との合併を機に、こうした製品が登場することは大変喜ばしいことである。シャープの亀山モデルを超えるアピールができると考えている」と出雲モデルの登場を歓迎する。

被災の影響を受けたなかでの伊達モデルの展開

 一方で伊達モデルのブランド展開にも重要な意味がある。

 富士通アイソテックがある福島県伊達市は、福島第一原発から60kmの範囲にあり、市内の4地区113世帯が特定避難勧奨地点に指定されている。また、東日本大震災で被災し、工場の操業停止を余儀なくされたという経緯がある。

 再稼働後も、同工場で生産されたプリンターをアジア地域へ出荷する際に、ガイガーカウンターによって、放射線量を測定してほしいという要求があったというように、風評被害ともいえる状況に陥っているのも事実だ。

 伊達市で生産を継続することで、そこに対するこだわりをあえて訴求し、富士通として、安心して使ってもらえる「福島県伊達市で生まれたPC」を出荷しているということを示したわけである。

 伊達モデルのロゴには、「伊達」の文字とともに、FUKUSHIMAという文字を入れ、福島の地から安全なPCを出荷していることを強調する狙いも含まれているといえそうだ。

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