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MARKETING 編集者の眼第33回

クリック課金のGoogleが「パンダ」を採用する理由

2011年10月11日 14時57分更新

文●ロフトワーク、Web Professional編集部

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オレゴン州にあるFacebookのデータセンター(写真と本文は関係ありません)

 グーグルの稼ぎ頭であるAdWordsはクリック課金の検索連動型広告だ。だから、たとえスパムサイトでも、クリックされた分だけ広告主に請求すれば売上げになる。グーグルが企業である以上、パンダアップデートの目的が「より品質の高いサイトを検索できるようにすること」だと説明されてもすぐには信じられない。私はひねくれ者なのだ。

 たとえば、あるユーザーが「個人年金 比較」というキーワードで検索して、個人年金に関するブログを段落ごとに寄せ集めただけの、文字通り「ゴミサイト」にたどり着いたとしよう。ユーザーはこのページがゴミであることに気付き、仕方が無いので張り付けられていたAdSenseの広告をクリックして保険会社にたどり着き、そのまま契約したとする。

 このとき、ゴミサイトの運営者には広告のクリックに対して数百円の報酬が支払われるだろうし、グーグルは保険会社に数千円の広告料を請求できる。保険会社はユーザーに何十年にわたって数百万円の保険料を請求できるだろうし、ユーザーは老後の心配をせずに仕事ができる。

 個人年金の特集を組んでいた経済誌はWebにお客をとられて休刊に追い込まれるかもしれないが、アフィリエイターもグーグルも、保険会社もユーザーも、損をしたとは言いがたい。どうしてグーグルが検索結果の品質を高める必要があるのか、よくわからないのだ。

 ここでGoogleの検索結果を、検索結果の上部や右側に表示される有料エリア、中央に表示される本来の検索結果である無料エリアのふたつに分けて考えよう。

 有料エリアには広告スコアと入札額に基づいたリスティング広告が表示される。従来、広告スコアはキーワードとの関連性やクリック率などを元に算出されていたが、グーグルは10月3日、ランディングページの品質も算出に使う、と発表した広告文だけでなく、ランディングページの品質も高くしないと、よい位置に広告を表示してあげませんよ、というのだ。

 つまりグーグルのいう「より品質の高いサイト」には広告ページも含まれるのである。広告ページの品質が高くなれば、ユーザーが検索連動型広告をクリックしたとき、残念な思いをしてページを去る回数は減る。グーグルが広告ページの品質を高めたいのは、「おかしなページに飛ばされることがあるから、検索結果に表示される広告はクリックしないようにしよう」とは思われないよう、AdWordsの価値を維持するのが狙いだろう。

 無料エリアには、必ずしも商品・サービスの販売が目的とは限らない情報がキーワードとの関連性が高い順に表示される。関連性は、ページ内に検索キーワードそのものが含まれているか、多くのリンクを集めているか、リンクにはどのようなラベルが付けられているかなどで判断されていると考えられているが、本当のところはよくわからない。個々の指標の足し算やかけ算ではなく、機械学習的なアルゴリズムを使って、総合的に関連度を算出していると考えられている。

 グーグルが検索結果に表示されるサイトの品質を高めたいのは、「Googleの検索結果にはゴミページが多い」と思われないよう、Googleの価値を維持するのが狙いだろう。

 有料エリアでも無料エリアでも、検索結果の品質が高まるのはユーザーにはありがたい。しかし、「グーグルは企業である以上~」という疑問は氷解しない。そこで唯一思い当たるのがFacebook対策だ。

「Googleの検索結果はゴミばかり。検索エンジンなんて使わずにFacebookで誰かに聞いた方が早いよ」とみんなが思い始めたら、Googleの価値はどんどん低くなる。世界中のWebページを複製し、巨大なデータを蓄積し、インデックスを作ることでマイクロソフトを蹴散らし、ITの頂点に立ったグーグルは、人間同士のつながりをWebに複製し、大量の個人情報を蓄積するFacebookに負けつつあるのかもしれない

 ロフトワークの諏訪さんとお話ししたのは、ビッグデータはどのようにビジネスで使われるか、である。Facebookのような一握りの企業だけが活用できるのではなく、時間が緩やかに流れる地域の小さな企業でも、ビッグデータは活用できる。人間同士のつながりや生活そのものがデータ化されたとき、ビジネスはどんな姿に変わるのか? 日本オラクル、伊藤忠テクノソリューションズ、ロフトワークが10月26日に共催するセミナー「売上げの鍵を握るイノベーション・Webマーケティング」で話すことになった。

売上げの鍵を握るイノベーション・Webマーケティング

日時
2011年10月26日(水) 14:00~17:00(13:30開場・受付開始)
主催
日本オラクル、伊藤忠テクノソリューションズ、ロフトワーク
会場
日本オラクル 13Fセミナールーム 住所:東京都港区北青山2-5-8 オラクル青山センター(外苑前)
定員
80名
参加費
無料
対象
  • 事業責任者、マーケティング、Webマスター
  • 企業のマーケティング・広報担当者・マネージャー
  • 経営企画担当者

■プログラム

CandyとDukeが盛り上げるOracle Open World 2012に向けたWebマーケティング戦略
日本オラクル 藤野 誠一郎氏
情報発信の起点となるコーポレートサイト
伊藤忠テクノソリューションズ 竹森賢司氏
ビッグデータが切り開くデジタルマーケティングのイノベーション
アスキー・メディアワークス Web Professional 中野克平
実践、成果を生むWebサイトの秘訣と運営
ロフトワーク 諏訪光洋氏、山口謙之介氏


※申込みは、ロフトワークのセミナー案内ページから。

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