アップル変革の第一歩は現在の状況を確認すること
世界中のメディアがマイクロソフトとの提携ばかりを書き立てたが、ジョブズが「現状報告」とした基調講演では、ほかにもアップルの変革を約束するいくつかの重要な発表がなされている。
ジョブズは現在のアップルの問題は、(1)経営の深刻な悪化を傍観していた取締役会の責任、(2)Macそのものの存在意義を見失っていること、(3)Macが備える強みを生かし切れていないこと、(4)パートナーシップの欠如、(5)革新的な製品を発表していないこと──だとした。
(1)に関しては旧役員を辞職させ、ジョブズ自身やラリー・エリソン米オラクル社CEOなどからなる新役員で役員会を刷新した。
(2)、(3)、(4)に関しては、Macが最も強さを発揮しているのは、出版や映像、音楽関連のクリエイティブなコンテンツの制作現場および教育機関であり、この2つの市場に注力していくことを語った。また、サードパーティーとのこれまで以上の関係強化にも触れられた。
Macがほかのパソコンとまったく違っていた時代に、あえてMacを購入したフロンティア精神あふれるユーザーに恵まれたMacが、クリエイティブな分野で開花して高い支持を集めているのはいたって自然、とジョブズは分析する。なお、(5)についての詳細は触れられなかった。
日本のメディアの報道に反して基調講演に対する来場者の反応は概ね良好で、基調講演のビデオを販売していた業者は数日間供給を上回るオーダーに頭を抱えていたほどだ。「ビデオ購入者の多くは基調講演を生で、あるいは中継で見ていた人で、皆、アップルの歴史に残る講演の保存版として買い求めていた」という。
MacPeople×MACPOWER緊急特別編集
「CEO スティーブ・ジョブズ」
2011年10月5日、アップルのスティーブ・ジョブズ元CEOが死去しました。月刊誌「MacPeople」では、スティーブ・ジョブズ氏がアップルと歩んできた道を本誌増刊号「CEO スティーブ・ジョブズ」(価格680円)として10月17日に緊急発売します。
初代Macintoshが発表された1984年からiCloudを発表した2011年までの主要なキーノートスピーチの内容はもちろん、ジョブズ氏の経営哲学までをカラー128ページにぎっしり詰め込みました。スティーブ・ジョブズ氏がアップルやIT業界に残した功績をいま一度再確認できる1冊です。
CEO スティーブ・ジョブズ 「CEO スティーブ・ジョブズ」は、価格680円で10月17日発売。アップル起業から CEO退任までの軌跡をはじめ、初代Macintoshの開発者から見たスティーブ・ジョブズ氏や、NeXT、Pixarにおける活躍も紹介する。巻末には、PC/IT業界で著名な識者の追悼メッセージを掲載している |
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Mac OS X 10.7 Lion パーフェクトガイド Plus (MacPeople Books)アスキー・メディアワークス
Office 2011 for Mac パーフェクトガイドWord/ Excel/ PowerPoint/ Outlookの操作のツボを解説 (MacPeople Books)小山香織(著)アスキー・メディアワークス
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