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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第120回

謎のプラットフォームが加わったXeon最新ロードマップ

2011年10月03日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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通信機器向け「Jasper Forest」の後継は
Sandy Bridge-EP/EN

Xeonシリーズの2009~2013年ロードマップ

 図1と図2は典型的な2プロセッサー構成サーバー向け構成だが、妙なものが通信機器向けブレードサーバー分野に登場した。

 元々インテルは2010年2月に、通信機器向けXeonとして「Jasper Forest」をリリースした。ベースはNehalem(Bloomfield)なのだが、ここにPCI Express Gen2 x16を内蔵した製品である。

Jasper ForestことXeon C5500/3500シリーズ

 通信機器向けの場合、バックプレーンと呼ばれる広大なバスに複数枚の「ラインカード」を装着し、ラインカード同士で通信するという仕組みをとる。ラインカードの実体はブレードサーバーに近いが、通信機器向けにいくつか専用の回路が搭載される点で、ブレードサーバーとはちょっと違う。バックプレーンには必ずしもラインカードだけを装着するわけではなく、装着するラインカードが1種類だけという保証もない(通常は複数種類が使われる)。

 そのため、バックプレーン上の通信プロトコルは、QPIやAMDのHyperTransport Linkだったりという独自規格※1ではなく、業界標準のプロトコルが好ましい。そのため現在は、PCI Expressが利用されている。こうした事情を背景に、Jasper ForestはPCI ExpressのインターフェースをCPU側に内蔵しており、このPCI Expressを経由してのマルチプロセッサー構成を構築することも可能な、独特の製品となっている。
※1 HyperTransport Linkは規格がオープン化されているという点では独自規格ではないと言えるが、現時点ではAMDのプロセッサー以外利用していない。事実上の独自規格と考えても間違ってはいまい。

 ここまでが長い前置きである。32nm世代では、Sandy Bridge-EP/ENともにPCI ExpressをCPU側に内蔵したので、Jasper Forestはスムーズにこちらのプロセッサーに移行可能となった。そのためJasper Forestの後継製品はなく、基本的には「Xeon E5-2400L/2600L」という低消費電力型Xeonが担う。

 通信機器向けのプラットフォームは、当初は「Romley」こと「Intel C600」シリーズチップセットで投入されるが、2012年第1四半期中に「Cave Creek」という新チップセットが投入され、こちらが本命になる。このCave Creekを前提として、2プロセッサーのブレード向けに「Crystal Forest Server」、1プロセッサー向けに「Crystal Forest Gladden」という2種類のプラットフォームが用意される。

 その1プロセッサー構成が、図3に示すCrystal Forest Gladdenである。CPUは「Sandy Bridge Gladden」と呼ばれる独特の4コア製品で、通常のSandy Bridgeとの最大の違いは、37.5×37.5mmのBGAパッケージで提供されること。つまり、ソケットを利用しない組み込み型の製品だ。

図3 Crystal Forest Gladdenのシステム構成

 ベースがSandy Bridgeだから、内蔵するインターフェースはPCI Express Gen2である。面白いのはPCI ExpressのレーンをCPUから直接外部に出すことも、いったんCave Creek経由とすることも可能な点だ。そのため構成としては、以下の2種類がサポートされる。

  • CPUから外部にPCI Express x8レーンが2本、もしくはPCI Express x16レーンが1本出て、Cave CreekとはDMI 2.0で接続
  • CPUから外部にPCI Express x8レーンが1本出て、Cave CreekとはDMI 2.0+PCI Express x8レーンで接続

 Cave CreekそのものはPCI Express x16レーンでの接続にも対応しているが、1プロセッサー構成だと、なぜかx8接続のみである。

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