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ユーザビリティとユーザーエクスペリエンス

2011年12月19日 11時00分更新

文●アンティー・ファクトリー

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 誰もが情報にアクセスできる「アクセシビリティ」の考え方を一歩進めて、よりよい使い勝手を追求する「ユーザビリティ」や「ユーザーエクスペリエンス(UX)」という考え方が広がっています。

 ユーザビリティは、一般的に「使いやすさ」や「使い勝手」と表され、ユーザーエクスペリエンスは、ユーザーが製品やサービスを使用したときに得られる体験や満足、心理的な変化を指します。

 いずれも、ユーザーの満足度を向上させる取り組みであり、Webサイトの設計にうまく取り入れることで、企業サイトのブランドイメージを向上させたり、ECサイトではコンバージョン率(購買率)を高めたりといった効果が期待できます。

ユーザビリティの定義と具体例

 国際標準化機構の規格であるISO 9241-11では、ユーザビリティを、ユーザーが目的達成するときの「有効さ」「効率」「満足度」「利用状況」であると定義。Webユーザビリティの権威であるヤコブ・ニールセン博士は、「学習しやすさ」「効率性」「記憶しやすさ」「低エラー発生率」「主観的満足度」の5つの要素があると述べています。

 つまり、ユーザーが操作を誤ったり、無駄な労力をかけたりせずに目的へたどり着けているか、不快な思いをせずに利用できているかが、ユーザビリティの条件になります。

 ユーザビリティを向上させるには、蓄積されているユーザーインターフェイス(UI)のノウハウをもとに設計し、ユーザビリティテストなどを通じて検証します。UI改善の具体例としては、ナビゲーションは分かりやすく分類する、ボタンは認識しやすい位置に押しやすいサイズで配置する、フォームは最小限の入力項目に絞り、入力しやすく配置する、などが挙げられます。

ユーザーエクスペリエンスの定義

 米アダプティブ・パス社の創設者であるジェシー・ジェームス・ギャレット氏の著書「The Elements of User Experience」では、ユーザーエクスペリエンスの基本概念を「戦略」「要件」「構造」「骨格」「表層」の5段階で定義しています。ユーザーの視点に立ち、最終的にどのような体験で目的を達成させたいかを考えてから、具体的なUIの設計やデザインに落とし込むことで、一貫したユーザーエクスペリエンスを提供できる、という考え方です。

 ユーザーエクスペリエンスは包括的な概念ですが、Webサイトを使っていて楽しい、目的の情報が簡単に得られる、時には求めていた以上の情報も得られる、といった気持ちよさやおもしろさなど、プラスの感情をいかに与えられるかが重要です。

著者:アンティー・ファクトリー

アンティー・ファクトリーはWeb戦略だけでなく、タッチパネルやスマートフォンなどの各種インターフェイス・アプリケーション開発、次世代広告コミュニケーションの設計や開発を行っています。ワールドワイドなクリエイティブを展開し、発展しつづける会社です。

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