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シトリックスがiForum 2011を前にクラウド戦略を整理

オープンなクラウドの中のXenServer 6とNetScaler

2011年09月30日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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9月29日、シトリックス・システムズ・ジャパンは、XenServer 6やNetScalerのクラウドに向けた取り組みを説明する発表会を開催した。また、ハイブリッドクラウドの環境を検証する「Citrix Cloud Competency Center」も発表された。

XenServer 6の改良点とは?

 XenServer 6の概要について説明したシトリックスのプロダクトマーケティングマネージャー北瀬公彦氏は、AWS(Amazon Web Services)やラックスペース、ゴーグリッドなどの大手クラウド事業者がこぞってXen/XenServerを導入しているという点を説明。「米ラックスペースはもともとオープンソースのXenを使っていたが、2010年からはXenServerに切り替え、CloudStackなども導入している」と説明し、XenServerの導入も進んでいると説明した。国内でもデスクトップ仮想化やクラウドインフラ、エンタープライズなどの環境で、XenServerが次々と導入されており、2010年9月の同社調べでは30%がXenServerが使っているという。

シトリックス プロダクトマーケティングマネージャー北瀬公彦氏

クラウド環境でのXenの利用

 同社では、XenServerのほか、NetscalerやXenDesktop、XenAppなどの自社製品やCloudStackやOpenStackなどの管理ツール、他社製品を組み合わせるエコシステムで、オープンなクラウドソリューションを展開していると説明した。

シトリックスが標榜するオープンなクラウドソリューション

 こうした中、新バージョンとなるXenServer 6では、安定性やスケーラビリティ、ユーザービリティ、パフォーマンス向上のほか、いくつかの最適化機能が強化されている。たとえば、XenDesktopの仮想マシンのイメージをローカルストレージにキャッシュするIntelliCacheや仮想マシンからGPUにダイレクトアクセスするGPU Pass-ThroughなどはXenDesktop向けの最適化機能として挙げられた。もう1つ、クラウド向けの最適化機能としては、標準搭載されたディザスタリカバリサイトの構築機能やストレージ機能の外部呼び出し、Linuxベースの仮想アプライアンスによる動的か負荷分散機能などが紹介された。

 また、ネットワーク機能に関しては、OpenFlow対応のOpen vSwitchが標準の仮想スイッチとなったほか、仮想スイッチの制御機構であるvSwitch Controllerの安定性を高めるフェイルセーフモードの提供などが挙げられる。その他、Microsoft System Centerとの連携を強化したほか、管理ツール「XenCenter」では仮想アプライアンスのサポートやインポート/エクスポート機能の向上や、複数タスクが一度に可能になった。なお、XenCenterの日本語版は2011年内に投入される予定となっている。

拠点だけでなくクラウド間をつなぐNetScaler

 次にシニアプロダクトマーケティングマネージャーの的場謙一郎氏がNetScalerのアップデートを行なった。NetScalerはもともとロードバランサーからスタートし、SSLのオフロードやVPN、WAN最適化、セキュリティなどを搭載したADC(Application Delivery Controller)に成長している。2011年はアプリケーションの可視化やインフラ間接続、マルチテナント対応など後述する各種の新技術・新製品により、「アプリケーションレベルの最適化ではなく、より高度なサービスを最適化するサービスデリバリコントローラーとなっている」(的場氏)と説明した。

シトリックス シニアプロダクトマーケティングマネージャーの的場謙一郎氏

NetScalerはサービスデリバリーコントローラーへ

 最新の取り組みとして、物理アプライアンスに迫るパフォーマンスを可能にする仮想アプライアンス「NetScaler SDX」、ライセンスの購入でスループットを向上できる「NetScaler MPX」、アプリケーションのトラフィックを可視化する「AppFlow」、データベースのSQL文を解釈した上でトラフィックを分散する「DataStreame」などが紹介された。

マルチテナント対応のNetScaler SDX

SQLを解釈するDataStreamテクノロジー

 また、クラウドへの取り組みとして、クラウドサービスのリソースを自社のデータセンターの一部としてアクセスできる「Cloud Bridge」、複数のサービスのへのアクセスを統合管理する「Cloud Gateway」などが紹介された。「Cloud Bridgeを使うと、広域ロードバランシングで、地理的に異なっているIaaSなどを自社データセンターのリソースとして見せかけることが可能になる」(的場氏)。

 さらに社内のデータセンターと外部のクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドの構築を支援する「Citrix Cloud Competency Center」を発表した。ソフトレイヤ社との連携により、ハイブリッドクラウドを体感したり、アプリケーションの機動性、シングルサインオンやID管理、パフォーマンス監視、基盤管理などの検証やデモンストレーションを可能にするという。

ハイブリッドクラウドの構築を支援する「Citrix Cloud Competency Center」

 XenServer 6やCitrix Cloud Competency Centerは、10月4日に開催される「Citrix iForum 2011」で披露される。

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