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NECパソコンの故郷で、幻の超薄型Android端末を見た

2011年09月28日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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視線移動や画面の振動?
NECPの研究する未来のUI

 技術開発についての説明では、NECPが米沢事業場で研究する新しいユーザーインターフェース技術や、すでに製品にも応用された技術が説明された。

 例えば製品に応用された技術では、傷を自動修復する「スクラッチリペア」技術や、人感センサーを利用した省電力化機能などがある。スクラッチリペアの場合、製品に導入された2008年当時は、特殊な塗装をノートパソコンの天板に施していたのだが、表面に素材を吹き付け塗装していたため製造コストがとても高く、幅広い製品に導入するのは不可能だったという。

 それが現在では、フィルム状のシートでスクラッチリペアの機能を実現できる「スクラッチリペアIMF」へと進化。50分の1ものコストダウンに加えて、天板のデザインに模様を入れることも可能になったという。その結果、2011年秋冬モデルでは、多くのノートパソコンにスクラッチリペアが導入されているほどだ。

フィルムで実現できるようになった「スクラッチリペアIMF」(左)と、それを挟み込んだ天板のフィルム

 開発中の技術としては、タッチパネル操作に臨場感を加える「大画面ハプティクス」技術と、ユーザーの視線の動きを観測して操作に反映する「視線操作」技術が披露された。ハプティクスは、操作の種類に応じて異なったパターンで画面が振動する技術だ。現在でも小型のタッチパネルならば、タッチに応じて振動する製品がある。しかし、20型超の大画面では均一に振動させることが困難で、パソコンに導入されている例はまだない。

 NECPでは均一の振動を実現したうえで、大画面タッチパネルの操作にフィードバックを与えて、操作感を向上させる技術を開発中だ。画面のタップやドラッグ、あるいはアイコンの操作などによって振動のパターンを変えることも可能で、見た目だけでなく指先への反応でも操作の違いが体感できるようになる。

大画面ハプティクスのデモ機。画面の上下に複数のモーターがしこまれていて、タッチ操作の種類に応じて画面が振動する

大画面ハプティクスの仕組みと目標

 視線操作は、画面の前にいるユーザーの視線の動きを、近赤外線の網膜からの反射と瞳孔の位置関係を赤外線センサーとカメラで計測。視線の動きでアプリケーションを操作できるというものだ。デモのアプリケーションでは、タイル状に並んだコンテンツ(画像や音楽、ビデオ)を視線で選択し、写真なら拡大表示、音楽なら再生といった簡単な操作が行なえた。基本的には個々のユーザーに合わせたキャリブレーションが必要だが、1度誰かでキャリブレーションをしておけば、他人でもある程度は操作できる柔軟な仕組みとなっている。

視線操作のデモ機。画面下に見える2つの光が点ったバーが視線追跡用の機器

視線操作のデモアプリケーション。画面下側のタイルに並ぶコンテンツに視線を向けると、そのコンテンツが選ばれて中央に拡大され、音楽なら再生、写真なら拡大表示される。左右に視線を向ければ、隣のコンテンツが中央にスライド移動する。Windows 8のMetro Styleアプリに合いそう?

 どちらの技術もすぐに実用化できるものではなく、特にコストダウンの点ではまだ課題も多い。しかし、パソコンの使用感を向上したり、障がい者のパソコン利用を容易にするのに役立ちそうで、今後に期待が持てる。

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