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NECパソコンの故郷で、幻の超薄型Android端末を見た

2011年09月28日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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 生産性向上の鍵となったのは、トヨタ自動車が編み出したことで名高い「かんばん方式」と呼ばれる生産管理方式の導入にあった。今回、工場見学の説明を担当した同社プロセス改革推進部 統括マネージャーの若月新一氏によれば、2002年にトヨタで生産管理を担当していた方をコンサルタントに招き、米沢事業場の生産管理方式の改革を始めたのが、大きな転換点となったという。

米沢事業場での「生産革新」の取り組み。トヨタ方式の導入から始まり、今ではテクノロジーも駆使した発展した方式となっている

 かんばん方式の生産管理を導入した2000~2003年の「第1フェーズ」を皮切りに、スピードアップにより生産性を高めた2004~2008年の「第2フェーズ」を経て、2009年からは「パソコン版トヨタ生産方式」と呼ぶ「第3フェーズ」に進んでいる。第3フェーズでは、例えば「かんばん」(作業指示書)にRFIDを内蔵して、ITを活用したさらなるリードタイムの短縮を図っている。部品は30分置きにトラックで納品され、RFID付きのかんばんと一緒に、必要なセルへと運ばれていく。

サプライやデリバリーでの、コストダウンとスピードアップの取り組み例。ちなみにコンシューマー向けパソコンは、米沢で製造後に東京大井の倉庫に集めて、全国の販売店や顧客に発送するという

RFIDを内蔵した「かんばん」

 ちなみに、記者はNECPの群馬事業場(現在は保守サービスを担当)でデスクトップパソコンを生産していた頃に取材したことがあるが、当時は工場内でマザーボードを生産していた。そして、機械化可能なマザーボード生産ラインはロボットで、人手の方が効率的なパソコン組み立てラインは人間が担当という具合に分担されていた。ロボットと人手の割合は、50対50程度だったと記憶している。それ以前はロボットの割合がもっと多かったそうだが、パソコンが多品種で商品寿命も短くなるにつれて、細かい製品の違いにも柔軟に対応出来る人間の割合を増やしていったという。

ノートパソコンの生産セル。左から組み立てが始まり、検査と梱包へ続く。従業員は常に両手を動かして作業し、部品類は体の最小限の動きで取れるように配置される

 一方で現在の米沢事業場では、ロボットによる自動化組み立てのラインはない(マザーボードのほとんどは中国で製造)。基本的にすべて人手による作業であり、部品や完成品を輸送するロボット(なんと米沢の自家製!)が走っている程度だ。生産数の半分が一品物という少量多品種のパソコン生産では、とてもロボットでは対応出来ないと若月氏は述べる。また、米沢事業場は決して巨大な工場ではなく、ほかの見学者からも「意外と小さいね」という声が挙がることもこともあるそうだが、スペース効率が従来の3倍ほどに高まっているため、十分対応できるのだそうだ。

米沢事業場では効率化とコストダウンのため、検査機械も自家製の機材が多用されている。こちらは部材やネジがきちんと止まっているかを確認する機械で、板を吸引して引っ張るので「きゅうちゃん」と呼ばれているらしい

生産の現場はほぼ完全に人手による作業。一方、部品や完成品を運ぶために、自家製のロボット列車が走り回っていた

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