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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第72回

知らない動画がザクザク見つかる「JamCloud」が楽しすぎる

2011年09月24日 12時00分更新

文● 四本淑三 取材協力● 船田戦闘機

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YouTubeは古いものごとを良い方に変えた

―― ところでスティーブ、どうして日本の歌謡曲なんか知ってるの?

スティーヴン 「カ・ヨ・ウ・キョ・ク」……? あ、60sのことね!

Image from Amazon.co.jp
ベスト・オールディーズ100

 初めはスリー・ファンキーズをYouTubeで見つけて、ものすごく好きになったんです。ぼくはもともとアメリカでもオールディーズが好きで、YouTubeで似たような曲をよく探していた。つまり「TreasureTube」(YouTubeでの宝探し)をしていたら、よく日本の60〜70年代の曲が引っかかってくるようになったんです。そこからすごいがんばって日本語も勉強して。そういう何だか分からない曲の中にいることが好きだったってのもありますけどね。そういえばたしか、(映画監督の)タランティーノも日本の曲や映画が好きですよね?

※ 1960年にデビューした日本の男性アイドルグループの元祖

―― タランティーノ映画だと「Kill Bill」なんかが記憶に新しいですね。

スティーヴン それにぼくは幼いころ、日本のRPGも大好きだったんですよ。当時は日本語も読めなかったから、日本語版しかないゲームはボタンを1つずつ押して「これは何のメニューなんだ?」とか考えながらプレイしたりしてましたけど。

―― なるほどね。ところでスティーヴン、JamCloudをはじめるまで、仕事は何を?

スティーヴン 15年間ずっとプログラマーを。マクロメディア(現在はアドビ)「Director」関係のね。ただ、Flash 6が出てきた頃には、Flashでデスクトップアプリを作る会社に移っていました。

―― JamCloudはAdobe AIRのアプリですね。

スティーヴン JamCloudを作りはじめたときは、ちょうどAIRが出てきた頃だったんです。ただ今後はWebへの移行を考えて、HTML5バージョンも準備するつもりですけど。

―― そういえばPomplamooseはお好きですか?

スティーヴン あー。はいはい、大好きですよ! JamCloudのトップページに彼女たちのスクリーンショットを載せたんですけど、見ました?

Pomplamoose : スタンフォード大学に通っていたジャック・コンテ、ナタリー・ドーンの男女2人組。08年以降、YouTubeを中心に積極的なリリースを続けている

―― まさにそれを見たんですよ。逢ったことは?

スティーヴン ノー。ないです。最初に見つけたときからすごいと思ってましたよ。彼ら、日本でもそんなに有名なんですか?

―― いえ。アメリカでは有名なのかな、と思って。

スティーヴン そう思いますよ。YouTubeのPVがすごいじゃないですか。YouTubeのファンは彼らがどうやって曲を作っているのか(メイキング)を見ていると思うんですけど、そのカットがとにかくクール。それにもちろん、ジャック・コンテはものすごく才能あるミュージシャンだと思いますし。

―― Pomplamooseもそうですが、アメリカでは現在「YouTube Movement」(YouTube生まれのアーティストがムーヴメントを起こすこと)が大ブームになっているんですよね? それがぼくらは気になってるんです。

スティーヴン すごいことですよね。長らく、レコードレーベルが消費者が聴くものを操作する時代が続いてきた。だから、才能があっても聴かれるチャンスはほとんどなかった。でも、インターネットで彼らは次々と見つけられるようになった。そこからレーベルに目をつけられて、有名になることも増えてきた。

 たとえばジャスティン・ビーバーなんかがそうですよね。あと、ジョナサン・コールトンの曲「Code Monkey」。あれはギークを中心にかなり流行しました。「Portal」というゲームのテーマソングも書いて、それも売れています。そうして今や年間50万ドルのトップスターです。レーベル専属じゃないのに。

ジャスティン・ビーバー : Justin Drew Bieber。YouTube出身のカナダの歌手。09年にアイランド・レコードからデビューし、最新アルバムの『My Worlds2.0』は全米No.1のヒットに。17歳

ジョナサン・コールトン : Jonathan Coulton。プログラマー出身のシンガーソングライター。仕事をやめ、週に1曲ずつアップロードしつづけて人気を集めていったという。40歳

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