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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第36回

AndroidとIntelの連携でモバイル業界は新たな戦国時代へ

2011年09月21日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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AndroidのAtomへの最適化で
MeeGoは消えてしまうのか?

 モバイル業界は相変わらず、Androidを中心とした話題が多い。先週はIntelとGoogleが、Androidの「Atom」サポートで提携を発表した。ハードウェアという点ではAndroidがさらに広がることになるし、OSという点ではIntelが支援してきた(している)「MeeGo」の将来が気になる。

 IntelとGoogleの提携は、9月13日のIntelの開発者向け会議「Intel Developer Forum」で発表された(関連記事)。ステージにはIntelのCEO、Paul Otellini氏とAndroid開発を統括するGoogleのAndy Rubin氏が登場して、AndroidをAtom向けに最適化することを発表。2012年前半にAndroidが動く「Medfield」(Atomベースの携帯機器向け次世代SoC)搭載機が登場する見込みという。

これまではイマイチ協力関係が不明だったAndroidとIntelだが、IDFにGoogleのAndy Rubin氏が登壇して、正式にAtomへの最適化を宣言した

 これは、Androidが動くハードウェアが増えることを意味するが、Intelにとっては事情は複雑なはずだ。この提携により、世界最大のスマートフォン向けOSのサポートを得ることになる。スマートフォンなど携帯電話メーカーは古くからARMコアを採用してきた。IntelはGoogleとの提携で、ARMコアと戦う土台を強化したことになる。

 Intelはこれまで、モバイル分野での競争にあたり、独自にOSを展開してベンダーをひきつける戦略をとってきた。古くは「Moblin」で、現在ではMeeGoだ。MeeGoは2010年2月にNokiaと発足させたプロジェクトで、Nokiaの「Maemo」とMoblinという2種類のLinuxベースのプラットフォームをマージさせたものだ。

 2010年2月にモバイル業界のイベント「Mobile World Congress」(MWC)で発表されたこともあり、Android対抗と位置づけられているが、スマートフォンでの実績は1台だけ――Nokiaの「Nokia N9」(発売は10月予定)だ。

「Nokia N9」は最初で最後のMeeGoスマホになってしまうのか?

 NokiaはMicrosoftとの提携により「Windows Phone」をメインのスマートフォンプラットフォームとする戦略に変更、これによりMeeGoは“実験的”という位置づけになった。NokiaはMeeGo搭載スマートフォンは2011年に1台(それがN9である)を投入するとしているが、その後については具体的なコミットを示していない。その唯一の1台ですら(MeeGoはAtomとARMをサポートしているが、N9は1GHzの「ARM Cortex A8」ベース)、(おそらく)Windows Phone展開を優先させるため、アメリカ/イギリスなど主要市場では発売されないという扱いだ。

 Ottelini氏は、本来なら2011年の年末商戦にはMeeGoがNokiaから登場するはずだったが……とスマートフォンでのMeeGo失敗を認める発言をしたようだ。だが、MeeGoはネットブック、車載などほかのインターフェースも持つため、Androidでの提携がプロジェクト終了を意味するわけではないと思う。それでも、スマートフォン市場に入ることはさらに難しくなった――新しいベンダーが採用しない限りは。

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