「インドではトイレの数よりも携帯電話の数のほうが多い」という、冗談のようなタイトルのレポートが以前、国連のレポートで報じられた。
キャッチーなタイトルだが、要は携帯電話はインドの市民にとって、トイレ以上に身近で必要なモノになっている、ということを言っているわけだ。
ただし、このレポートが発表されたのは昨年の春のこと。さらに当たり前のように、インドでは携帯電話が普及している。都市では至る所で携帯電話を販売する店があり、携帯電話会社の広告が掲げられている。
インド政府の関連組織「TRAI(Telecom Regulatory Authority of India)」の発表によれば、インドの人口12億1000万人のうち、2011年7月末の段階でインドにおける携帯電話の利用回線数は8億5837万にもなるという。
ちなみに固定電話の契約回線数が3418万で、インターネット契約回線数が1869万(2010年末データ)であり、これらと比較すると圧倒的な数字だ。
インドの民間調査会社「CYBER MEDIA」はこの発表に対し、「料金を使い果たして使用されていないプリペイドカードも多数含まれている」として、携帯電話のアクティブユーザー数を「4億5000万から5億程度」と見積もっている。
8億5000万か4億5000万かで、人口からみる普及率と随分と違ってくるが、9億超の携帯電話番号が稼働する中国(中国政府工業和信息化部発表)に続く携帯電話大国であることには間違いない。
インドの調査会社「CMR」によれば、2010年のインド市場での携帯電話出荷台数は1億6700万台で、うち3.6%にあたる約600万台がスマートフォンとのこと。
2009年の出荷台数は1億1900万台で、うちスマートフォンは約250万台なので、携帯電話全体では約1.5倍、スマートフォンに限れば2倍以上の伸びとなっている。またCMRは今年の携帯電話の出荷台数を2億1000万台、スマートフォンは5.2%にあたる1100万台と、1000万台の大台に乗ると予想している。
インターネット契約回線数に比べてインターネットの回線数は圧倒的に少ないが、この理由として固定電話のインフラが整っていないことと、現状インド人インターネットユーザーに人気のサイトが英語サイトばかりなのも理由となっている。
インド人というと英語話者を連想するだろうが、英語が使いこなせるインド人は1億人もいない(同様にパソコンを使いこなせるインド人も1億人もいない)。
英語が使えるインド人は、キャリアアップすべくパソコンの使い方を習得し、英語圏などからのアウトソーシング案件をこなしていく。また、そのスキルゆえFacebookやYouTubeやTwitterなどを英語で難なく使いこなし、人脈を作り顧客を呼び込んでいく。
ハイスキルなインド人同士のコミュニケーションは、文字ベースでは英語であることはもちろん、電話や面と向かってでも英語のセンテンスが混じる。インドで最も人気のサイトはFacebookで、そのやりとりでも英語を使う。
さらにキャリアのあるインド人はFacebookなどのコミュニケーションツールやビジネスツールのためにBlackBerryを筆頭としたQWERTYキーボードのついたスマートフォンを導入する。iPhoneは人気だが、BlackBerryもなかなかの人気なのだ。
中国に比べるとメンツの概念はないが、それでもBlackBerryを持つと物欲を満たせるため、多くの若きホワイトカラーがBlackBerryに走っている。
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