IDF2日目となる9月14日(アメリカ時間)、Intelはエンタープライズ向けに新しくIntel SSD710シリーズを発表した(インテル、データセンター向け SATA ソリッド・ステート・ドライブを発表)。IDFでもこれにあわせて説明が行なわれたほか、ちょっと今後のロードマップについても説明されたのであわせてご紹介したい。
SLC NANDと同等の耐久性という「SSD 710」
SSD710は、既存のIntel X25-Eの後継製品となるものである。X25-Eはエンタープライズ向けということで価格も高く、秋葉原などでも取扱店は非常に少ないが、SLC NANDのおかげで高速かつ長寿命(書き込み可能回数が多い)を特徴とする製品である。ただしSLC NANDということもあって容量も少なく、プロセスも今では古い34nmのものである。もっともこうした古いプロセスだからこそ、書き込み可能回数を多くできる面もあるのだが。
ただそうは言っても容量の少なさ(32/64GB)は如何ともしがたい部分である。発表当時は128GB品がロードマップにあったが、残念ながらこれは出荷されていない。そこでIntelはこのマーケットにMLC NAND製品を投入することにした。それが今回のSSD 710である。
ただしX25-Eの後継だから、特に耐久性の点でMLCは不利である。これに対応したのがHET(High Endurance Technology)で、NAND構造そのものの改良と、組み合わせるコントローラ/ファームウェアの改善により、SLC NANDと同等の耐久性が実現できた、とする。
下の画像ははX25-EとSSD 710、それに今年4月に発表された「SSD 320」(関連記事)を比較したものである。性能あるいは容量の観点ではまだSSD 320の方が上だが、耐久性はぜんぜん比較にならないことがわかる。ちなみにここにあるOp 20%というのは“Over Provisioning”の略で、要するに予備領域である。たとえば100GB品なら80GBを使って残り20GBを予備にしておくと、書き込み可能回数が5000回から9000回に増えるという話だ。
性能面では? ということで下にランダムアクセス性能の結果を示すが、特に20%の予備領域を持たせた場合はX25-Eと比べても全く遜色がないことがわかる。
もっとも価格は相変わらずコンシューマ向けとは言いがたい。Intelの発表によれば1000個発注時の価格で
100GB品 : 5万270円($649)
200GB品 : 9万9840円($1289)
300GB品 : 14万9410円($1929)
となっている。
ちなみに()内はIntel米国本社の発表した価格で、日本円はインテル(株)の発表した価格で、昨今の為替レートを反映した「お手ごろ価格」と言えなくもないが、ちょっと個人で買える製品とは言いがたい。
Chrryville/Hawley Creek
SSD 710の話は以上で終わりなのだが、セッションでは「ついでに」と、コンシューマ向け製品についての話も行なわれた。Cherryvilleは、現在のIntel SSD 510の後継となる製品で、具体的な数字は挙げられなかったものの「より高速になる」という話であった。こちらは今年秋に登場とあるからそれほど待たなくても登場しそうである。
もう1つがHawley Creekの話である。ご存知の通り、IntelはZ68チップセットにIntel SRT(Smart Response Technology)を導入すると共に、これに対応したIntel SSD 311を投入している。Intel RST自身は原理上どんなSSDと組み合わせても利用できるが、MLCだとどうしても無駄が多い。そこでIntel SSD 311は34nmプロセスのSLC NANDを使い、容量は20GBと小さいながらもキャッシュ用には十分な分を確保している。
Hawley Creekはこの後継製品で、容量は同じく20GBを維持しつつ、25nm SLC NANDに切り替わった製品になるようだ。既存の6シリーズと、当然ながら来年登場する7シリーズのチップセットとも互換性を保つと思われる。こちらは登場時期が明示されなかったが、6シリーズでも動作するということを考えると、来年の7シリーズ登場を待つ必要はないわけで、Chrryville同様に比較的すぐ市場投入される可能性もありそうだ。

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