2011年末にかけてのデジタルAV業界におけるトレンドを占う大型トレードショー群の第一弾として、ドイツ・ベルリンにて欧州の最大のイベント「IFA 2011」が開催されている。
会場を大々的に開放した本イベントは、現地時間9月2日からの会期となるのだが、開催に先立ち8月31日より国内外の大手メーカーがプレスカンファレンスを開き、年末から来年に向けての新製品や商品戦略を発表する。このため、プレス関係者にとっては8月31日からIFAのイベント取材は始まっている。
本記事では年末にかけてのトレンドを判断するべく、デジタル・ホームエンターテイメント関連を中心に各社プレスカンファレンスの内容をダイジェストでお伝えしていく。
ロンドン五輪の3D中継と「ビエラコネクト」
二本柱のパナソニック
パナソニックのプレスカンファレンスは、冒頭を電池事業を始めとしたエネルギー関連のプレゼンテーションの時間に割いたが、オーディオ・ビジュアル関連の話題としては、2012年開催のロンドン五輪の映像機器分野におけるオフィシャルパートナーシップを結んだことを会場にて発表した。
ロンドン五輪ではパナソニックの業務用3Dカメラを用いて開会式/閉会式、体操、陸上、水泳、ダイビングなどの主要競技に対して、合計200時間にも及ぶ内容がライブ放送で中継されることになる。
パナソニックはプレスカンファレンスでテレビ関連の新製品を発表しなかったため、テレビへの取り組みの本気度は未知数の部分もあるが、3Dにも引き続き力を入れていくことが確認できた。
パナソニックのもう1つの目玉は「VIERA Connect」と呼ばれる、薄型テレビの「VIERA」を中心としたネットワークサービスだ。日本で発売されているビエラには現在「VIERA Cast」というネットワークと連携するアプリケーション群が搭載されているが、VIERA Connectはそれをよりもクラウド志向、ネットワーク志向を強めた発展系と考えていい。
なお、技術的には完全に延長線上にあるものなので、現行の「VIERA Cast」搭載モデルはソフトウェアアップデートにより「VIERA Connect」対応になる。
「Sony Tablet」の発表と
「Sony Entertainment Network」が中心のソニー
ソニーのプレスカンファレンスで今年の目玉として扱われていたものは2つのサービスだった。
1つは日本でも同日発表された「Sony Tablet」である。他社に先駆けてオープンしたソニーブースでは、ビデオ再生、音楽再生、ゲームなど目的別にSony Tabletを体験できるブースが用意されていた。
欧州向けに発表されたハードウェアは日本向けに発表されているものと同じ「Sシリーズ」「Pシリーズ」の2モデルなので詳細は別記事を参照してほしい。
もう1つの目玉は「Sony Entertainment Network」の発表だ。これはソニーがプレイステーション向け、ブラビア向け、タブレット向けなど、個別に展開していた映像・音楽などのネットワークサービスを1つに統合しようとする取り組み、と考えると分かりやすい。
当初の変更点としては、昨年よりスタートした映像配信サービス(欧州では音楽配信も提供している)「Quriosity」が、「Video Unlimited」「Music Unlimited」と名前を変更するところからスタートする。現時点での対応機器も従来の映像配信、音楽配信対応機器のままだ。
Sony Entertainment Networkは、1つのIDを使ってマルチデバイスで利用できるサービスというのが目標だが、現時点では一度購入したコンテンツは最初に再生したデバイスでしか再生できず、マルチデバイスサービスにはなっていない。
統合は、そうしたマルチデバイスサービスに向けた布石と考えるべきものだろう。
ソニーは他社に先駆けてブースを公開していることもあり、ブースでは初披露となる様々なデバイスが公開され大変な人だかりができていた。
日本では未発表の製品としては、欧米での発売が発表された電子書籍リーダーの「Sony Reader」、Androidスマートフォンの「Xperia arc S」、ほかにもVAIO用のオプションとして発売される裸眼3Dアタッチメントなどと呼ぶべきものも会場に展示されていた。
なお、BRAVIAやBDは他機器との連携を除いて展示はなく、モバイルとネットワークに注力した形だ。
