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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」第70回

iPhoneアプリ「ラップムシ」成瀬つばさインタビュー

190万ダウンロードのアプリ、無料じゃないと“もったいない”

2011年09月03日 12時00分更新

文● 四本淑三

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リズムシシリーズは音楽配信である


―― ストレートに音楽をやっていた頃は、その先に何かがあるという目的意識があったわけですが、今の状態には満足していますか?

つばさ このアプリでやっていることが何かというと、音で楽しむこと、ワクワク自体を沢山の人が手軽に楽しめることだし、それに加えてリズムシさんのキャラクターや笑いの要素もあることで、音楽畑以外の人にも楽しんでもらえている。私自身の音楽表現をしつつ、やはり音楽自体の楽しさを伝えることがやりたいことですし。


―― 他の環境でも同じアプローチは可能だと思うんですが、タッチセンスデバイス以外だと、将来的にどういった環境が想定できますか?

つばさ iPhoneもiPodから進化してきたものだから、イヤホンを付けるのが当たり前だし、音楽アプリにぴったりなものなんですよね。これが10年後20年後に、良いメディアとして在り続けるかどうかは分からないですが、その時代に一番あったやり方で、自分のやりたいことを曲げずに、というのは常に探していかなければならないと思っています。

 例えば、バンド形式で音楽作品をMySpaceで公開して、ライブ映像をUstreamで公開して、みたいな当たり前の手段で本当にいいのか? そう考えたとき、今自分のやりたいことはアプリで、手描きテイストで、インタラクティブな形での音楽作品を配信することだと思ったんです。


―― つまり、これは音楽配信だと言っていいんですね?

つばさ いいと思います。あと、ラップムシの声の主は大学の後輩なんですけど、彼が個人的にラップミュージックを作ってMySpaceで公開しても、身内を中心に100人聴かれるかどうかだったと思うんです。だけど、このアプリという形で出すことによって、何十万人という人たちに彼のラップを届けることができたんですよ。


―― そんな風にメディアが変わると音楽も変わるわけですね。レコードが生まれて、ラジオが普及して、でもインターネット時代になって、まだ新しい音楽のスタイルは生まれていないと思うんですが、ひょっとしたらコレがそうかもしれない。

つばさ そうですね。まわりのアマチュア音楽家を見ていて思うのが、もう自分の意志で考えることを何もやらなくなっていて。単純なパクリよりも、流行っているもののスタイルを研究して真似るというのは逆に性質(タチ)が悪いと思っていて。こういうことに興味があって、こういう音を選んで、こういう楽器を使って、こういうものを作るんだという意志がまったくない。たぶん魅力的な見本がありすぎるせいだと思うんです、昔と比べて。そういう意味で新しい物が出にくくなる傾向はある気がしています。


―― ポップミュージックは職人芸の世界でもあるから、その傾向と対策を練るのは、それだけでゲームとして楽しいんですよね。そのゲームのルールを飛び越える環境があるにも関わらず。じゃあ最後に、本気で楽器を作ってみようという気はありませんか?

つばさ 楽器でもいろいろアイディアはあります。たとえば、初心者向けのシンセはもっと崩せると思っています。まだまだカタイと思うんですよね、初めての人が遊ぶのには。


―― どういうアイディアか教えては……くれませんよね?

つばさ ははは、それはちょっと。でもインターフェイスとか操作性について、簡単すぎる必要はないと思うんですよね。今まで使う層がマニアックだったというか、難しくてもそれを使えて当たり前だった部分があるので、不親切な部分があったと思うんです。そこは親切にしなければならない。簡単にしていくことは批判がつきがちだけど、親切にして困ることはないと思います。


―― “シンセツサイザー”みたいな。

つばさ ……そ、それいいんじゃないですか……。


―― 変なオチ付けてすみません……。次の作品も期待しています!

つばさ はい。今はビジネスの勉強が中心になっていて、アプリを出すペースが鈍っていますけど、今年後半くらいからはまたどんどん出していけると思います。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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