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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第98回

「もし森ガールが森へ入ったら」アサイさんの超地道な努力

2011年08月31日 12時00分更新

文● 古田雄介(@yskfuruta

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キャッチーなネタに真面目なメッセージを盛り込みたい

―― 外に意識を向けたあと、読者の反応はどうですか。だいたい予想通りで?

アサイ トキの話みたいに専門的な内容をかみ砕いて解説するコンセプトの記事は、おそらく僕と似た考えや興味を持っている人に多く読まれているので、わりと予想通りの反応をいただいていると思います。でも、ニセ科学に言及するような、もう少し広い範囲の人……自分の意に沿わないものに感情的に反論してしまう人も刺激してしまうようなエントリーは、反響を全部予測するのは難しいですね。

 あと、予想が大きく外れていたのは「森ガール」でしょうか。あそこまで反響があると思わなかったですし、ちょっと僕の意図と離れて、森ガール糾弾キャンペーンみたいに捉えられてしまいまして……。

―― 後にフォロー記事を追加されていますね。でも、川ガール男に続くあの弾けっぷりは、真面目な分析と対照的でインパクトが大きかったですよ(笑)。

アサイ ありがとうございます。最初は本当に深く考えずに、「ちょっとやってみたら面白いかな」程度で始めたんですよ。別に森ガールが嫌いということは全然なくて、「森ガールで皆がイメージする“森”と、実際の“森”のイメージにはギャップがあるよね」ということに気づいて、ネタにしようかなと。そうしたら予想以上のアクセスがあって、びっくりしました。あの……可愛いというコメントをいただいたりして(笑)。

2010年7月19日にアップした「もし森ガールがゆるゆるファッションで実際に『森』へ入ったら」。アサイ氏が森ガールに扮して森で悪戦苦闘する様をコミカルにまとめている。その1週間後、アンチ森ガールという誤解を払拭すべく「森ガールにとっての『森』を考える~「もし森」補足として」というエントリーも加えた

2011年8月13日にアップした「怪奇!川ガール男 ~森ガールみやまちゃんの妹あらわる~」。ここにも川ガールに扮して、川に突入する果敢なアサイ氏の姿がある

―― それで、アサイさんは外に発信するとき、真面目に論拠を示して真実を提示するスタイルと、読者を楽しませるキャッチーなスタイルの2種類を意識的に使い分けているのかなと感じました。そういう感覚はありましたか?

アサイ 目指しているのは、ウケ狙いして広く読まれるようになって、その中に織り込んだちょっと真面目なメッセージみたいなものが伝わるようなることですね。「こいつが書くなら、ちょっと読んでやるか」と思ってもらえるような。まだ全然ですけどね。

 何か情報を人に伝えるとき、キャッチーさというのはかなりのウエイトを占めていると思うんですよ。そして、それが悩ましいところでもあったり。たとえば放射能の問題にしても、低線量被曝による健康被害についてはよくわかっていない部分があるので、「影響がある」とも「ない」とも言い切らない、言い切れないのが科学的な誠実さだと僕は思っています。ですが、それを「白黒はっきりして欲しい、科学のくせに曖昧だ」と受け取ってしまう方もいる。その状態で、「外で遊ぶと子供が鼻血を出します」みたいな、分かりやすい結果を誰かが断定したら、不安に駆られてそちらに飛びつく人も大勢出てくる。そういうこともあるのかなと感じるんですよ。

―― 現実よりもキャッチーな説が、根拠ゼロなのに人気投票で勝るという感じですね。それに対抗すべく、根拠ありの説にキャッチーさを盛り込むという。

アサイ たぶん、「風説を信じるな!」と硬めに言うより、そのほうが耳を傾けてくれる人が多いと思うんですよね。まあ、単に喧嘩っ早いところがあるので、下手に敵を作るような方向には行きたくないんですよ。

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